室内の体感温度が3度低く
大和ハウス工業が、日鉄鋼板およびニチアスの技術協力のもと開発した低放射折板屋根は、折板屋根(金属を折り曲げて加工した屋根)の下面に低放射裏貼材を接着することで放射熱を抑えられる屋根材です。2018年の夏に実施した実証実験では、暑さに対する効果検証を行うため、同一建物に一般的な折板屋根と低放射折板屋根を採用。低放射折板屋根を採用した室内の体感温度が、前者と比較して3度低くなったことを確認しました。
実証実験後の2019年3月から、関東、中部、関西圏の一部の工場や倉庫などで低放射折板屋根の導入が始まり、2023年1月から36都府県で本格運用を開始しています。
高温化しやすい折板屋根
2022年夏、日本気象協会が40度以上の日を「酷暑日」と命名しました。連日続く異常な暑さに、工場や倉庫などでは、従業員の熱中症対策が課題となっているといいます。消防庁の発表によると、2022年6月の熱中症による全国の救急搬送者数は、調査開始以来で過去最多。熱中症は屋外だけではなく室内でも多く発生しており、厚生労働省は、工場や倉庫などで作業する製造業において、熱中症の約半数の46%が室内作業時に発症していると明らかにしています。
その一因が、屋根からの強い放射熱です。工場や倉庫の多くに採用される折板屋根は、軽量で一定の強度を持つ一方、日射により高温化しやすいという欠点があります。強い放射熱によって室内が暑くなることで、室内作業中の従業員などが熱中症を引き起こす恐れが高まります。
このような課題を受けて、大和ハウス工業らは、室内の暑さの原因となる屋根の放射熱を、一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制する低放射折板屋根を開発しました。
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001837.000002296.html
(文・Saki.A)