クラウドベースのセキュリティ対策市場は、不正アクセスなどのサイバー攻撃が激化していること、またクラウド上のストレージの利用増加を背景に、着実に成長を続けており、2035年末までには142 億米ドル(日本円で約1.9兆円)もの収益を世界中にもたらすと試算されています。
IDS /IPSとは
IDS およびIPSは、ネットワーク上の通信を監視する機能で、それぞれ役割が違います。
IDSとIPSの違いは、ネットワーク監視という意味では同じ働きですが、IDSが検知した結果を通知するところまでなのに対し、IPSは必要に応じて通信そのものを遮断する防御機能を有している点です。どちらもDoS/DDoS攻撃やSynフラッド攻撃、バッファーオーバーフロー攻撃といった、システム上の脆弱性を突いた攻撃や、大量のデータを送り込み、サーバーへの負荷を仕掛けるサイバー攻撃への対策として有効です。
クラウドベースのセキュリティ対策市場が注目されている要因
KENNETH RESEARCH社の調査によれば、クラウドベースのセキュリティ対策市場が注目されている要因は以下の通り。
クラウド コンピューティングの急増
まず、全世界的にクラウドコンピューティングやSaaSへ移行が進んでいることが挙げられます。クラウド上のストレージにあるデータを保護するためには、IDS /IPS などのソリューションが不可欠であることです。
ランサムウェア ケースのエスカレーション
次にランサムウェアケースの危険性、ネットワークに接続したローカルPCもしくは、オンプレミス設置のサーバーに対して、サイバー攻撃によりデータに身代金をかけられ、多大な損失を被るということがあります。こういったリスクがクラウド化を促進させています。
ちなみに、身代金を支払ったとしても復旧が実現したのは、全体の約 64% だったというデータもあります。
BYOD の増加傾向
最後にビジネスにおける利用デバイスの行動変容という点です。いわゆるBYOD(Bring Your Own Device)というもので、個人が私物として所有しているパソコンやスマートフォンを業務に使う利用形態を指します。
近年はスマホやタブレットの性能が各段に向上したこと、通信環境が大きく改善されていることで、モバイルデバイスのビジネス利用も増えてきました。
また、コロナ禍において、リモートワークが増えたことにより、オフィス以外のPC(自宅で個人使用しているもの)を利用するといったシチュエーションが増えてきました。
こういった場合にユーザーが利用しているデバイスにデータを保存することは、リスクでしかなく、そういった状況もクラウドへの移行が進んでいる大きな要因です。
なお、 データによると、約 83% の組織が BYOD によるオペレーションを採用しているそうです。
クラウドベースの IDS /IPS市場の成長は、北米や欧州が牽引していると思われがちですが、アジアにおいては、特に中国とインドは、AIやデータサイエンス、IoT などの分野でトッププレーヤーとして急成長しています。
こういった市場ニーズの傾向は全世界的にまだまだ広がっていくと思われます。
ますます成長していくマーケットになりそうです。
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(文・川口祐司)