普通の絵本を、3Dプリントで“触れる絵本”に
そこで、最新の3Dプリント技術を活用しようという動きが見られるようだ。コロラド大学のDepartment of Computer Scienceに所属する准教授Tom Yeh氏の研究チームでは、普通の絵本を3Dプリントされたページに変換し、視覚障害のある子どもたちが手で触れて、イラストやストーリーがわかるようにする「触れる絵本」の開発に取り組んでいる。
数学的ダイアグラムを用い、コンピューターのアルゴリズムが絵を解釈する。現在はプログラムのテスト段階であり、保護者向けのワークショップを開催することなどに留まっているものの、将来的にはサイトで“触れる絵本の作り方”を紹介し、親や先生が絵本の写真を撮影し、そのデータを自宅の3Dプリンターに送信して、「触れる絵本」を作成できるような一連の流れを構築したいと考えているという。
通例、本の世界に触れるのは、点字の学習が始まる6歳から
研究チームは、視覚障害の子どもをサポートする団体Anchor Centerと協力して、このツールを開発している。団体のAlice Applebaum氏によると、目が不自由な子どもたちは、視覚以外のさまざまな感覚を使って絵本の世界を感じ取ることを学んでいく。
通例、点字を学び始めるのが6歳以降であるため、それまでの期間に、自分の手を使って本を読む機会を与えられ、世界はどのようなものなのか体験できることには、大きな価値があるという。
自宅で好きな“触れる絵本”を作成できるように
今後はますます3Dプリンターユーザーは増加し、それに伴い本体の値段も今よりグッと下がると考えられる。これまでのやり方で点字絵本を作成するには大変な労力がかかり、コストもかかっていた。だからこそ、自宅で好きな「触れる絵本」を作成できることの意義は大きいだろう。
チームではまず、「Goodnight Moon book」を3Dプリントした本の作成を完了したが、今後「The Very Hungry Caterpillar」「The Cat in the Hat」など、ラインナップは増加していく見込み。
Tactile Picture Books Project