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日本がマイナンバーカードの普及と行政DXを急ぐべき理由とは? 今知りたい、マイナンバーカードのメリット

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現在、日本ではマイナンバーカードの普及に向けた取り組みや、行政サービスのデジタル化が推し進められています。なぜ今、政府はマイナンバーカードの普及や行政サービスのデジタル移行を急ぐのでしょうか?

今回は、官民共創データ利活用エバンジェリストの川崎浩充氏に、マイナンバーカードの利活用推進に向けた国の取り組みや、政府が取り組みを急ぐ理由について解説していただきました。

「お得」を入口にマイナンバーカード取得を

現在、政府はのっぴきならない事情からマイナンバーカードの普及を強力に推し進めており、還元キャンペーンも積極的に行っています。

今後、日本経済の未来のためにも、地域課題のためにも、マイナンバーカードの普及を起点に、住民本位な各種デジタルサービスの開始が進んでいくことでしょう。

これは、携帯電話がガラケーからスマートフォンに移行した流れと同様、最終的にはコモディティ化するかもしれません。

しかし、こうした流れや政策を知らない若い方が意外と多いのです。それがね、ちょっともったいないんじゃないかな、とおじさんは思うのです。

若い方にとって、アプリをインストールしたり、オンラインで買い物したりするのは簡単なことでしょう。それさえできれば、国や自治体からさまざまなお得な特典が受けられます。それだけでなく、未来の日本経済や地域課題に協力できるのです。

どうでしょう。少しだけ、話を聞いていただけませんか?

マイナンバーカードの利活用推進に向けた国の取り組み

マイナンバーカードはもう取得されましたか?その際、マイナポイントを受け取りましたか?

政府は、マイナンバーカードを取得した方に向けて「実質的な給付金」である還元キャンペーンを行っています。

この施策では、昨年から実施している第1弾と合わせると国民一人当たりに2万円を配っている計算になります。つまり、全体でみると総額2兆円以上の予算を掛けているわけで、それだけ政府が「強力に推進する必要がある」と判断している取り組みなんですね。

なぜ政府がここまで本気で動いているのか、という話の前に、ここでは取り組みの中身をご紹介します。

取り組み内容は、以下を支給するというものです。

①選択した決済サービスの利用・チャージ金額に応じて最大5,000分マイナポイント
②健康保険証としての利用申込みで7,500円分マイナポイント
③公金受取口座の登録完了で7,500円分マイナポイント

この取り組みは2022年12月末までの予定でしたが、2023年2月末まで延長となりました。

SPY×FAMILYとのコラボ企画も実施中となりますので、お見逃しなく。

マイナポイントの受け取り方は複数あるのですが、PayPay楽天payのような電子マネーでの取得が楽かもしれません。ちなみに、PayPayでの受け取り人数はすでに1000万人になるそうです。たいがいのお店で使えますし、便利ですよね。

どうしてもデジタル化を急ぐべき深刻な理由

なぜ政府はマイナンバーカードの普及と各種デジタルサービスの開始を急ぐのでしょうか?

すでに、日本の一人当たりGDP(Gross Domestic Product:国内で生産されたモノ・サービスの付加価値を表すもの、国内総生産)が、韓国や台湾に追い抜かれようとしています。

日本経済研究センターは2022年12月、個人の豊かさを示す日本の一人当たりの名目GDP(年間の経済活動の水準を算出したもの)が2022年に台湾、2023年に韓国をそれぞれ下回るとの試算をまとめました。

この順位の入れ替わりは偶然ではありません。デジタル化で後塵を拝し、労働生産性で伸び悩んでいることが大きな原因の一つです。デジタル化に舵を切らなければ、今後も順位を下げ続けていくでしょう。

そのほか、日本は人口減少や高齢化といった問題も深刻化しています。現実問題として、デジタルによる生産性向上、自動化への道筋を付けなければ、当たり前にあった行政サービスが継続できなくなる可能性が高くなります。

こうした背景から、政府はマイナンバーカード普及によって、海外に比べ遅れに遅れている行政サービスのDX化を急ぎたいと考えているのです。

マイナンバーカード利用に向けた自治体の取り組み例

マイナンバーカード利用に向けた取り組みが、各自治体で始まっています。具体的な例として、渋谷区の地域通貨「ハチペイ」をご紹介します。

出典:ハチペイ

ハチペイは、渋谷区限定で利用可能な電子通貨アプリ。渋谷区民であることを確かめるためにマイナンバーカードの署名用電子証明書を活用していることが特徴です。

現在ハチペイアプリは、渋谷区民限定特典として、1万円分のチャージで1万5,000円分のハチペイデジタル商品券が付与されます。

これで、これまでのように決められた時間に、特定の会場に行って紙のプレミアム商品券を受け取るという手間がなくなります。
before
紙でのプレミアム商品券は、早い者勝ちのため、受付会場にて朝早く並んで受け取れる時間のある一部の住民のみがプレミアム付商品券を購入

after
ハチペイアプリからマイナンバーカードで認証をすると、デジタルプレミアム付商品券の購入がいつでもどこでも可能になる

プレミアム付商品券がデジタル化されるメリット

そもそも、地域限定のプレミアム付商品券がデジタル化されると、どんなメリットがあるのでしょうか?

【ユーザーメリット】
①プレミアム付商品券をなくす心配がない(スマホさえ持っていれば大丈夫)
②電子化すると端数処理ができるので、少額でも使うことができる(お釣りがないといった心配がない)

【自治体メリット】
①事務負担の軽減
②印刷、紙面コスト削減

行政にとっても、市民にとっても優しい取り組みと言えます。

今後、行政サービスのデジタル化は加速する?

マイナンバーカードの普及、それによる各種サービスのデジタル化で生産性を高めていく動きは、今後も勢いよく進むでしょう。

例えば渋谷区では、プレミアム付商品券の「電子化」を入口に、地域住民への利便性を高めた仕組みづくりや、ほかの行政サービスとの連携が進んでいくはずです。

このデジタル化の流れが上手く進まなければ、日本の各種サービスの維持そのものが危うくなるかもしれません。

まずは、「お得」を入口に始めてみてはいかがでしょうか?
<著者プロフィール>

川崎浩充
官民共創データ利活用エバンジェリスト
株式会社Public dots & Company

金融系13年、IT系業務を13年経験し現在に至る。1社目のオリエントコーポレーションでは、2000年からpaymentビジネス営業・企画、ECモール運営など実施後、全社横断DXプロジェクト(加盟店軸のビジネスモデルから顧客軸のビジネスモデルへの変革)を推進。中期経営計画策定を実施後、顧客WEBサービス再構築、金融API設計及びAPI利活用ビジネスの立ち上げから専門部署設立までを遂行。大企業での経営決定プロセスと新規事業構築を経験。

2社目のデジタルガレージでは、新たなテクノロジー・デジタルによるDX事業や新規事業企画の推進と組織スケールを得意とし、ゼロから10年で年60億、100人の組織まで拡大させた実績を持つ。同時に複数の子会社役員の他、5年にわたって複数のスタートアップ支援、メンタリングを行い、次世代事業の創出にも注力。パブリック領域の新規事業部も設立を行う。現在は官民共創における事業開発支援や民間データ活用による可視化領域などに従事。

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