そんな落合氏の個展「ヌル即是色色即是ヌル」が、東京・有楽町にある「阪急メンズ東京」にて開催されます。
期間は2022年9月28日(水)~10月11日(木)で、入場料は無料です。芸術の秋ということで、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
オンライン・オフラインで開催
落合氏は東京を拠点に、これまで国内外での個展やグループ展、写真集の刊行など、精力的な活動をおこなってきました。今回の個展では実験的な試みとして、インタラクティブな新作「ヌル即是色色即是ヌル」を含む3つのシリーズを発表するとのこと。
また、今回展示するNFTを素材としたアート作品の一部は、オンラインとオフラインのハイブリットで販売する予定です。
“宙に浮く鏡面彫刻”をもとに制作したNFTアート
それでは、今回の個展で発表予定の3作品を紹介します。1つ目は、2019年に3Dプリンターで制作した宙に浮く鏡面彫刻シリーズ「Borrowed Scenery and Materialization of Waves」をもとにした作品「Re-Digitalization of Waves」です。
同作品は、チベット仏教の仏具と庭園の借景から着想を得た“空中に浮く鏡面彫刻”をオールドレンズなどを用いて動画撮影し、動きのある視覚的なNFTにデジタル化したもの。
デジタルと物質化の輪廻転生を表現し、コンピュータと非コンピュータ(人間を含む)が混ざり合った新しい自然「デジタルネイチャー」の風景を想起させる作品群となっています。
2つ目は「Re-Materialization of Waves」。Re-Digitalization of Wavesシリーズにて、デジタルとアナログの変換を繰り返す過程であえてフレームレートゼロにして、質量性の高い2.5次元の平面作品へと仕上げています。
般若心教の思想を反映した新作アート
3つ目は、般若心経のフレーズにちなんだ新作「ヌル即是色色即是ヌル」。般若心経には「空(読み:くう、意味:実体がないこと)」と呼ばれる概念・思想があるといいます。この空という言葉を使った般若心経のフレーズとして挙げられるのが「空即是色・色即是空」。
さまざまな解釈がありますが、この世にあるすべてのものの本質は実体のない「空」であり、その「空」がこの世に存在するすべてのものの姿である、という意味があるようです。
そんな空即是色・色即是空という般若心経における空の思想を、有形を留めない銀面彫刻のデジタルデータとして捉えた作品が「ヌル即是色色即是ヌル」。
さまざまな色や形を反射しながら風景を歪める様を、デジタルの掛け軸のなかに構成しています。
PR TIMES
ヌル即是色色即是ヌル
Re-Digitalization of Waves
(文・Haruka Isobe)