そしてこのたび、総額1億円の資金調達を実施し、小型海上実験の準備を開始したと発表しました。
日本の洋上風力には浮遊式風車が最適?
近年、再生可能エネルギーのひとつとして注目が高まる風力発電ですが、国内の陸上風車は設置できる土地に限界があり、洋上風力に期待が高まっているようです。しかし、日本近海には遠浅の地域が少ないため海底に設置する着床式風車の設置は困難。岸に近い浅瀬への設置は、景観などの理由ですべての人が許容できるわけではないといいます。
そこで同社は、海に浮かべることで沖合への設置を可能にする浮遊軸型風車「FAWT」を開発中。人や環境への影響を最低限とし、広大な海上スペースを利用できると期待されているようです。
生産性は高く、コストは低い
「FAWT」は、回転する浮体で垂直軸型風車を支える設計。強風下で直立不動を維持するための大型浮体は必要ありません。また、海底に風車を固定しないことで、最大出力時に風が吹く方向へ20度傾くことが可能。どの方向からの風でもエネルギーに変換でき、風車直径10m以上のスケールであれば、従来の水平軸型風車と同等以上の生産性を実現できるようです。
さらに、設備費用や保守・運転維持費を大幅に削減できるのも特徴でしょう。
風車を固定する基礎がいらないことやクレーンを使わずに組立・設置できること、風車部分をカーボン複合材料の連続引抜き成形で製造できることなどがコスト削減を実現するといいます。
2024年度の海上実験へ向けて
今年7月に設立された同社は、電源開発株式会社および大阪大学と連携して浮体式垂直軸型風車に関する共同研究を進めてきました。また、革新複合材料研究開発センターICC(金沢工業大学)とは、炭素繊維強化プラスチック風車の製造法を検討しています。
このたび、株式会社ジェネシア・ベンチャーズから1億円を調達し、これらの研究・開発を加速する構え。そして小型海上実験機を設計・開発し、2024年度に海上実験を開始する予定です。
PR TIMES
「FAWT」紹介サイト
(文・Higuchi)