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Tech オンラインなのに“目が合う”。新感覚の遠隔コミュニケーションツール「tonari」が描く働き方

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オンラインなのに“目が合う”。新感覚の遠隔コミュニケーションツール「tonari」が描く働き方

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リモートワークが定着しつつある一方で、「コミュニケーションの行き違いが生じやすい」「新しい人間関係を築きづらい」といった課題を感じている人も少なくないのではないでしょうか。

そんな遠隔コミュニケーションに新たな可能性を示してくれるのが、等身大の大きなスクリーンを備え、まるで同じ空間にいるかのような感覚で会話のできる「tonari」です。

今回はtonari越しで取材を実施。東京・渋谷区の同社スタジオから、神奈川・葉山の拠点にいるtonari株式会社CEOのタージ・キャンベル氏に、開発の背景や一般的なWeb会議ツールとの違い、tonariならではのメリットなどをうかがいました。

まるで目の前にいるかのように会話できる

——リモートワークが普及し、コミュニケーションにWeb会議ツールを使うことは定着してきました。それらのツールとtonariの違いはどこにあるのでしょうか?

キャンベル:tonariは離れた空間同士をつなげて、ひとつの空間をつくり出すためのソリューションです。そのため、従来のWeb会議システムとはコンセプトが大きく異なります。

リモートワークは人間関係が見えない、ちょっとしたことを誰に聞けばよいかわからないといった問題が起こりやすく、孤立してしまう人もいます。だからといって、長時間かけて通勤してまで同じオフィスで仕事をすることが最善とは限りませんよね。

そこで、一人ひとりが無理なく働き、理想的な生活を実現するためのソリューションとしてtonariを開発しました。

タージ・キャンベル氏(左)と、創業メンバーで広報の永濱静佳氏(右)


——今、目の前にスクリーンがありますが、画面越しに話しているという感じがせず、直接対面しているような感覚です。これはどのように実現しているのでしょうか?

キャンベル:tonariでは、目の前に相手がいるようなリアルな感覚を実現するために、低遅延と高画質にこだわっています。

一般的なビデオ会議の場合、フレームレートは15〜30fps程度のことが多く、300〜500ms程度の遅延も起きます。tonariは、3K・60fpsの画質で遅延も120ms以下に抑えているため、会話をすぐに返すことができますし、ジャンケンをすることもできます!


——先ほどからお話をしていて、すごく目が合うのですが、一体カメラはどこにあるのですか?

キャンベル:どこだと思いますか?(笑)

実はtonariでは、スクリーンの中にカメラを埋め込む独自の特許技術を採用しています。これによって、スクリーン越しでも“目と目が合う”感覚を得ることができます。

さらに、等身大のスクリーンでボディーランゲージを使って話すことができますし、相手の空間全体が見えるので、屋外の天気や室内の人の動きなども把握できます。そういった仕組みがリアルな感覚につながっているのです。


——Web会議を大きな画面で接続するのとは違うのですね。

キャンベル:実は、開発初期に一般のWeb会議ツールを大型スクリーンにつないでみたこともあるのですが、雑音が気になって1日中つないでいられませんでした、また、画面が大きいため遅延が目立ち、身近な人がいつもと違う動きをしているように見えてかなり違和感がありました。

そこで、目と目が合い、大画面で違和感なくコミュニケーションをとれることを重視したソフトウェアを一から作ることにしました。

会議のためのツールではないとはいえ、もちろん会議でも使えるように、PCやスマホの画面を簡単に共有できる機能も備えています。その場合、メイン画面に資料を出すとどうしてもそちらに視線が集中してしまうので、あえてサイドモニターに表示する形をとっています。

拠点間のコミュニケーション課題を解消

——コロナ禍前から開発を手がけていたとのことですが、そのきっかけなどについてお聞かせください。

キャンベル:私自身がグローバル企業で働いてきたなかで、離れた拠点間のコミュニケーションには大きな課題を感じていました。

トップダウン型の組織運営の場合、マネージャー層が出張して多拠点のチームのマネジメントをしなければなりません。一方、チームメンバーはメールやWeb会議でやりとりするケースが多いでしょう。

しかし、その方法だとマネージャーたちには移動の負担があり、コストもかかります。一方で他の社員は対面で話せないことによるコミュニケーションミスが起きやすくなり、平等ではありません。

誰もが負担なくフラットにコミュニケーションできる環境を作りたいと考え、2018年の4月からtonariの開発に着手しました。2019年にパイロット版をリリースし、現在のバージョンは2021年に販売を開始しています。

——パイロット版を出している間にコロナ禍になり、世の中が大きく変わったと思います。その変化について感じていることはありますか?

キャンベル:コロナ禍で外出が制限され、自宅で仕事をせざるを得ない状況になったことで、家族のこと、仕事のことなどを深く考えるようになった人も多いと思います。

多くの人の働き方に対する考えが変化すれば、企業も体制を考えざるを得ません。そういった意味で、社会的にさまざまなことが変わるきっかけになったのではないかと感じています。

離れた場所でもカルチャーを共有できる

——現状では、どのような企業が導入しているのでしょうか?

キャンベル:2拠点間のコミュニケーションに課題を感じている企業にお使いいただいています。たとえば、東京と大阪に拠点をもつ株式会社フロンティアコンサルティング様は、距離が離れていることでカルチャーの違いが生じ、一体感が薄れてしまうことが課題でした。

tonariを通じて一緒にランチをとったり休憩時間に雑談をしたりするほか、打ち合わせをしているときに、通りがかった別チームの人が後ろからちょっと参加するといったこともあります。同じ部屋ではよくある状況ですが、それを東京と大阪でも実現できるのはtonariならではです。

——日常の業務以外では、どのように活用されているのでしょうか?

キャンベル:社内外のイベントなどでもお使いいただいています。伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)様では、本社オフィスと新規事業を手がけるイノベーションハブという拠点をtonariでつないでいます。

本社はセキュリティの関係上、入室可能な社員が限られている一方で、イノベーションハブは社外の人と一緒にワークショップを開催するなどして、新しいアイデアを創出する場所となっています。tonariを通じて本社のメンバーもワークショップに参加可能になり、熱量をリアルタイムで共有できるようになりました。


——tonariの設置場所や椅子などのレイアウトも会社によって違うのですね。

キャンベル:解決したい悩みに合わせて、どこにスクリーンを設置するか、どんな家具を配置するかといった空間デザインをご提案しています。

たとえば、フロンティアコンサルティング様はカルチャーを共有する目的なので、入り口が見える場所に設置しています。これによって、出勤時にあいさつをしたり、営業メンバーが外出するときに「行ってらっしゃい」と声をかけたりといったことを自然におこなえます。

また、イベント利用の多いCTC様の場合は、家具を動かしやすい配置にしています。イベント内容に応じてホワイトボードを設置しブレストをしたり、昇降式テーブルをスクリーン手前に動かして1on1ミーティングをしたりとフレキシブルな空間作りが可能になっています。

教育分野などでの活用の可能性も

——ビジネス利用以外で、tonariの利用が適しているのはどんなシーンですか?

キャンベル:コミュニティや教育、障害福祉の分野での活用の可能性を探る実証実験をおこなっています。たとえば2021年には、原爆の被爆者の方から子どもたちへ体験を語っていただくイベントを実施しました。

被爆者の方の多くが高齢となり、遠方への移動が難しくなっている一方で、デリケートな話だからこそ対面で話したいという思いもあります。離れた場所からでも相互の反応や空気感が伝わりやすいtonariは、そういった場でも効果的に使うことができると考えています。


また、電子工学のワークショップでは、tonari越しにエンジニアのレクチャーを受けながら、参加した親子がネオンサインづくりを体験しました。この方法を使うことで、たとえば離島などの子どもたちが、これまで地元では受けることのできなかった教育を受ける機会を得るといったことも可能になります。

——さまざまな可能性を秘めていそうですね。そのほかに、tonariを使うことのメリットはありますか?

キャンベル:SDGsの観点からも大きなメリットがあると考えています。先にお話した僻地の子どもたちへの教育もそうですし、子育てをしている女性にとって働きやすい環境を整えることもできます。

東京以外の場所に拠点を作りやすくなれば地方の活性化にもつながりますし、飛行機などを使った遠方への出張を減らすことができれば、カーボンニュートラルにも貢献できます。

エネルギー価格の高騰や異常気象など、これまで考えられなかったことが起こり、それが身近な問題となるグローバルな社会だからこそ、そういったことを真剣に考えることは大切だと思っています。

より広く活用できるソリューションをめざす

——シンガポールでの展開を予定しているとのことですが、その理由をお聞かせください。

キャンベル:海外での展開は、当初から視野に入れていました。拠点間のコミュニケーション問題を解消する必然性をより感じたからです。

日本との時差が少ないことや、日本企業も多く進出していることから、最初の展開先としてシンガポールを選びました。東南アジアのフライトのハブとなっている国でもあるので、シンガポールと東南アジアの他の拠点とのやりとりでもニーズがあると考えています。

——最後に、今後のビジョンを教えてください。

キャンベル:tonariに使っているパーツや機材は、私たちが開発を手がけた時点で最新のものを選んでいるのですが、おそらく今後5年ぐらいで価格が下がり、tonariもより手頃な価格で提供できるようになると予測しています。

現在は大企業や成長企業での利用が中心ですが、将来的には一般家庭や学校教育などにも広く取り入れていただけるソリューションにしていきたいと思っています。

(文・酒井麻里子)
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