同プロジェクトでは、2つのデジタルファブリケーション建築を制作。株式会社モンタージュが空間演出を担当し、新しい建築と歴史ある土地の感性を結びつける屋外インスタレーションを完成させました。
スイスと日本の協働プロジェクト
「Kizuki-au 築き合う Collaborative Constractions」は、建築におけるデジタルプロセス、人とロボットとの協働、技術的・文化的相互作用を追求するプロジェクトです。今回の展示は、在日スイス大使館とスイス連邦工科大学チューリヒ グラマツィオ・コーラー研究室(以下、ETH)、東京大学 工学系研究科 建築学専攻 T_ADS 小渕祐介研究室(以下、東京大学)との共催で実現しました。
2つのパビリオンを光・音・ミストで演出
東京大学とETHのパビリオンは、「あいち2022」の会場のひとつ“常滑やきもの散歩道”に出現。空間演出に用いたのは、パナソニック製の極微細ミストを放出する二流体ノズルとスピーカー16台、LED照明24台、投光器です。二流体ノズルからは、近づいても濡れにくく空間に漂いやすい「シルキーファインミスト」を放出。スピーカーとLEDは敷地内に散りばめられ、投光器は常滑焼の陶芸窯の煙突に設置されました。
なおスピーカーは、常滑焼の土管のなかに仕込まれ独特な反響音を響かせているようです。
風の変化や時間の経過で表情を変える
このスピーカーとLEDおよび投光器は、風力センサーで検知した風によってリアルタイムに変化します。これは、ミストによって温度を下げるだけでなく、日本古来の風鈴や花火のように五感で“涼を楽しむ”ことを意図した仕掛けのようです。また、敷地の境界には、ミストと照明のほか夏草を残すことで作ったゆるやかな“垣根”があります。秋口には夏草が変化してまた違う表情をみせるとか。
リアルタイムな風の変化と季節をまたぐ時間の経過によって、まったく違う景色を見せてくれるようです。
広範囲で展開中の「あいち2022」
「あいち2022」は、“STILL ALIVE”をテーマに、VR作品やパフォーミングアーツなどの芸術に触れられるイベント。愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)を主な会場として広範囲で展開しています。芸術鑑賞のほか、ガイドツアーやスクール・プログラムなど学びの場も提供。参加アーティストが出演するオンラインコンテンツも配信しています。また、今回紹介したプロジェクトのような連携企画事業も多数展開中です。
PR TIMES
「あいち2022」公式サイト
(文・Higuchi)