いずれもディスプレイを折りたためるフォルダブルスマートフォンで、先代となる「Galaxy Z Flip3 5G」や「Galaxy Z Fold3 5G」は日本でドコモやKDDIから発売されています。
日本での状況は明かされていませんが、例年通りであれば、秋冬モデルとして登場する可能性は高そうです。
横折り型のGalaxy Z Fold4
Galaxy Z Fold4は、横折り型のフォルダブルスマホで、閉じると一般的なスマホとほぼ同じサイズ感、開くと小型のタブレットに近いサイズ感になるのが特徴。ディスプレイの中央に配置されたヒンジ(蝶つがい)をよりスリムにした結果、高さが158.2mmから155.1mmへと小型化しました。それに伴い、重量も271gから263gへと軽量化しています。
サイズ以外の形状には大きな違いはありませんが、メインディスプレイのリフレッシュレートが1Hzから120Hzに自動で可変するようになり、省電力性能が高まっています。
フラッグシップモデルのGalaxy Sシリーズと比べると、やや見劣りしていたカメラも改善。メインの広角カメラは5000万画素になり、ピクセルピッチも2.0μmと大きくなり、暗い場所でもより多くの光を取り込めるようになりました。望遠カメラも、2倍から3倍へと倍率が上がっています。
OSにはAndroid 12Lを採用
こうしたハードウェアの進化以上に大きいのが、OSと言えます。Galaxy Z Fold3 5Gは、当初、Android 11を内蔵して発売しましたが、フォルダブルに関わるソフトウェアは、サムスンが独自にカスタマイズを施していました。これに対し、Galaxy Z Fold4では、Googleがフォルダブルスマホやタブレット用に開発したバージョンの「Android 12L」が採用されています。結果として、フォルダブルの機構を生かした機能が、より多彩になっています。
1つが、サードパーティアプリの「Flexモード」への対応。Flexモードとは、Galaxy Z Foldを半折りにした状態のことを指します。Galaxy Z Fold3までの端末もこのモードを搭載していましたが、対応するアプリはカメラやギャラリーなど、一部の内蔵アプリとZoomなどのわずかなサードパーティアプリに限られていました。ここに、NetflixやYouTubeが加わります。独自カスタマイズではなくなり、アプリ側がフォルダブルへの対応をしやすくなったことがうかがえます。
マルチタスクのユーザーインターフェイスも、Android 12Lに合わせて一新されました。画面下に、アプリが並んだ「タスクバー」が表示されるようになり、ここからアイコンをドラッグ&ドロップするだけで、簡単に2つ以上のアプリを同時に開けます。Google自身も、GmailやGoogleドライブなどをフォルダブルスマホなどの大画面端末でより便利に利用できるようにしているため、使い勝手は従来モデル以上になりそうです。
折り型のGalaxy Z Flip4
折り型のGalaxy Z Flip4も、スリムなヒンジを採用。縦横ともに、サイズはわずかながらGalaxy Z Flip3 5Gよりも小型化しています。ヒンジがスリムになった部分にバッテリーを詰め込むことで、電池容量も3300mAhから3700mAhへとアップしました。25W以上のチャージャーを利用すると、約30分で50%まで超高速な充電ができます。インディスプレイは、Galaxy Z Fold4と同様、1Hzから120Hzに可変し、省電力と滑らかさを両立させました。
フィーチャーフォン(ガラケー)のような折りたたみ機構をスマホに応用したGalaxy Z Flipシリーズは、折りたたんだとき、カバースクリーンに表示された情報しか見ることができませんが、サムスンはこの機能も強化。
プリセットされた返信の文章や音声入力を使い、メールに返信ができるようになったほか、お気に入りに登録した人への電話の発信も可能になりました。本体を閉じたままできることを、より広げた格好です。
2機種ともマイナーチェンジか
サムスン電子は、昨年同時期に開催されたUNPACKEDで、フォルダブルスマホが「次のメインストリーム」になると宣言。Galaxy Z Flip3 5Gの価格を大きく引き下げ、1000ドルを下回る価格を打ち出すとともに、両モデルを防水に対応させ、活躍する利用シーンを広げています。Galaxy Z Fold3 5Gは、初めてGalaxy Noteシリーズのアイデンティティだった「Sペン」にも対応しています。
結果として、フォルダブルスマホは以前にも増し、急成長を遂げています。サムスン電子によると、21年通期で販売したGalaxy Zシリーズは、20年の4倍にも拡大したといいます。日本でも、これまではKDDI単独で販売したところに、ドコモが加わり市場を広げました。Galaxy Zシリーズだけの影響ではありませんが、サムスン電子は日本市場でも21年度にシャープを抜き、シェア2位にまで上り詰めています(MM総研調べ)。
Galaxy Z Flip4/Fold 4でも、このメインストリーム化戦略は継続しています。一方で、先代モデルが大きくジャンプアップしたのに比べると、どこかマイナーチェンジ感があることも否めません。
特にGalaxy Z Flip4は、変化の幅が少ない印象も。海外では、本体のフレームやパネルを個別に選び、75通りの組み合わせを実現できるカスタマイズサービスの「Galaxy Bespoke Edition」を提供していますが、日本では未展開。これを始められれば、少なくとも日本市場では新味を出すことができるかもしれません。
(文・石野純也)