なお、この研究成果は、8月2日(火)に米国サンディエゴで開催されたアルツハイマー病協会国際会議にて発表したとのことです。
99名が抹茶を1年間継続摂取
同試験に際し、60歳から85歳の高齢者を中心とした939名を募集。そのうち、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)およびプレクリニカル期にあたる主観的認知機能低下(SCD)と診断された99名が臨床試験に参加しました。試験方法は、二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験。参加者を“抹茶群”と“プラセボ群”にわけ、抹茶群は抹茶カプセル(1日あたり抹茶2g)を、プラセボ群は有効成分がない着色コーンスターチを充填したカプセルを12ヶ月間摂取しました。
参加者は、カプセルを摂取する前後に認知機能検査・血中バイオマーカー測定・血中動態分析・脳イメージング(fNIRS、アミロイドPET)・睡眠調査などを実施。これらのデータをもとに、抹茶の効果とバイオマーカーの変化を総合的に解析しました。
睡眠の質と社会的認知機能への効果
睡眠の質の評価には、主観的な睡眠評価を問うピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を活用。その結果、抹茶群でPSQIスコアが低下し、睡眠の質が向上する傾向を確認したといいます。また、言語記憶・論理思考・指たたきなどの多領域で認知機能を評価するコグニトラックス検査も実施。すると、評価領域のひとつ“表情認知テスト”において、抹茶群には顔表情からの感情知覚の有意な改善が確認されました。これは、表情認知テストで表される社会的認知機能への効果を示すものだといいます。
なお、認知症やMCIのスクリーニングなどに用いられる神経心理学的検査の得点で抹茶群とプラセボ群に差はありませんでした。
人生100年時代におけるお茶の価値
伊藤園は、お茶の価値を科学視点でとらえ、人生100年時代の生活改善提案に向けた研究開発を推進中。そのなかで、睡眠の質や社会的認知機能(顔表情からの感情知覚)を維持・向上することは極めて重要なことと考えているようです。抹茶の成分「テアニン」にはストレス緩和・睡眠改善・ワーキングメモリー改善など、「カテキン」には血中コレステロール低下・体脂肪低下・ワーキングメモリー改善などの効果があると報告されています。また、抹茶の短期間の摂取効果として、中高齢者の注意力および判断力の向上も報告されているようです。
そんななか、長期摂取による効果として睡眠の質向上および社会的認知機能改善という効果確認に成功。伊藤園は今後、確認した効果の関連性やメカニズムの解明、ほかの検査内容の解析などを進めていく構えです。
PR TIMES
日本ジェネリック製薬協会
株式会社ヘルス・ソリューション
日本地域看護学会
(文・Higuchi)