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クイックコマースで再挑戦。フードパンダ発の事業を刷新、新たな地域密着サービスへ

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ヨーロッパを中心に拡大を続けるクイックコマース事業。自宅にいながらスーパーの商品を迅速に届けてくれる便利なサービスは、日本でも広がりつつあります。

「AMo」は「15分で届くネットスーパー」として、関東・中部・関西の9拠点からサービスを始めました。その成り立ちには、あの「foodpanda(フードパンダ)」が関わっていたとか?

「AMo」の創業者であるクイックエクスペリエンス株式会社・代表取締役社長の和田千弘さんに話を伺いました。

「もったいない」から事業承継

――現在、クイックコマース市場には新たなサービスがどんどん参入しています。背景にはどんな要因があるのでしょうか?

和田:やはり、コロナ禍の影響もあって、みなさんがデリバリーの便利さを実感したことが大きいと思います。まず、フードデリバリーの便利さを知って、次の段階で「ネットスーパーも使ってみよう」という方が多い印象です。

――すでに日本から撤退しましたが、和田さんはフードパンダのアジア地域マネージングディレクターとして、フードデリバリー事業に携わっていたんですよね?

和田:当時、フードパンダの売り上げは順調に増加を続けていて、多くのシェアを占める地域もありました。

一方で、Uber Eatsや出前館と比べると、加盟する飲食店の数が少なかったのも事実で、やはり日本市場に参入するタイミングが遅れてしまったのが、撤退の大きな要因ですね。

――その後、同じくデリバリーヒーロー社が展開していたクイックコマース事業である「pandamart(パンダマート)」を引き継いだのはどんな考えがあったのでしょうか?

和田:私はこれまで、すかいらーくグループやアルペングループの経営をはじめ、それ以前のコンサルやファンド時代も含めて多くのチェーンストア事業の経営に関わってきました。

そのなかで、多店舗展開をおこなう企業に魅力と社会的意義を感じてきて、独自性のある店舗を日本で展開できれば、大きく成長できると考えています。

それだけに、パンダマートも非常にポテンシャルが高い事業だと考えていたので、「日本から撤退する」と聞いたとき非常にもったいないと思ったんです。そこで、ドイツにあるデリバリーヒーローの本部に「ぜひ引き取りたい」と提案して、事業を引き継ぐことになりました。

15分で届くネットスーパー「AMo」

――「AMo」のサービス概要を教えてください。

和田:「AMo」はダークストア、つまり配達専用の倉庫型店舗を設置して、スマホアプリやWebサイトでご注文していただいた商品を、お客様の自宅まで短時間で配達するサービスです。

食料品や日用品を中心に商品を取りそろえ、注文後15分から20分程度で届けることができます。

――「パンダマート」は30分で届けるサービスでしたが、「AMo」で大幅に短縮できたのはなぜでしょうか?

和田:「AMo」は地域密着を掲げ、狭いエリアで運営している点がポイントです。パンダマートは店舗から半径5キロをカバーしていましたが、「AMo」では2キロから2.5キロ以内が対象です。

また、注文システムを改善したり、商品の配置や動線を見直したり、従来よりもピッキングのスピードを上げる工夫もしています。

――店舗ごとに何種類くらいの商品をそろえているのでしょうか?

和田:スーパーの実店舗は小型でも1万種類以上の品ぞろえがありますが、そのうち回転率がいい商品は半分程度といわれています。

「AMo」はそうした売れ筋商品に絞って、およそ6000〜7000種類を取りそろえたいと考えています。

「価格も地域一番」をめざして

――「AMo」は、「価格も地域一番」を掲げています。ネットスーパーは割高なイメージを持ってしまうのですが、安値で提供するためにどんな取り組みをしているのでしょうか?

和田:ネットスーパーの価格について考える場合、2つのパターンがあります。

まず、スーパーが宅配サービスを直接運営しているパターン。これは実店舗を利用して配達するため、実店舗の人件費や不動産コストに加えて、配達コストも加わります。

さらに、実店舗は買い物しやすいように広い売り場を確保します。その分商品のピッキングの時間もかかります。その点もコストがさらに上がる要因になります。

――もう一つのパターンについて教えてください。

和田:Uber Eatsなど、フードデリバリーのプラットフォーマーが、スーパーの商品を配達するパターンです。

この場合、プラットフォーム側がスーパーから手数料を取りますから、スーパーとしては負担が増えます。そうなると商品価格に転嫁するケースもあるでしょう。複数のプレーヤーが存在することで、どうしてもコストが上昇してしまうんです。

――「AMo」のようなダークストアだと、その問題が改善されるのでしょうか?

和田:「AMo」の店舗は、ドラッグストアよりも少し狭い、およそ300平方メートル程度のスペースで運営できます。不動産コストが抑えられますし、陳列作業やレジ作業の簡略化が可能です。

配送手数料は現在一律250円かかりますが、その他の工程を非常にシンプルにして運営できる点が、「AMo」のようなダークストアの大きなポイントだと思います。

――商品の配達を自社スタッフがおこなっている点も、コスト削減に関係していますか?

和田:自社スタッフによる配送は、トレーニングすればどんどん効率が上がっていきますから、結果的にはギグワーカーが運ぶよりも効率がよくなると考えています。

すかいらーくグループのガストやジョナサン、バーミヤンの宅配サービスも、主に自社のアルバイトスタッフを中心に配達していますし、大手のピザチェーンもそうですよね。「AMo」についても同じモデルで取り組んでいます。

まずは100店舗まで拡大。地方展開も視野に

――サービスを開始してから、利用者の反応はいかがでしょうか?

和田:家事や子育て、在宅勤務など、生活のなかで買い物の時間を確保するのは大変です。実際に、利用者へのヒアリングを通じて、日々の買い物を面倒に感じている人が多いとわかりました。

「AMo」のサービスで、そんな悩みを解決できていると実感しています。

――今後、どのようにエリアを拡大させる方針でしょうか?

和田:今後の候補地に関しては、人口密度や幹線道路の状況、既存スーパーの配置などを考慮して、すでに目星をつけています。

現在は関東・中部・関西の9拠点で展開していますが、なるべく早く100店舗まで規模を広げたいと考えています。

――地方都市でも同様のモデルで拡大させる考えですか?

和田:現在は、人口密度が高いエリアにオートバイと電動自転車を使って配達していますが、郊外のエリアでは、生協の共同購入のように軽車両で多くの世帯分まとめて配送するサービスなどを考えています。

その場合は、夜までに注文した商品を半日後の翌朝に運ぶモデルなど、いろいろな配送パターンを想定しています。

――そのほか、将来的に実装したいサービスを教えてください。

和田:まだサービスを始めたばかりですが、アプリ経由の買い物は、従来の実店舗型の形態よりも販売データを非常に細かく取得できます。

将来的には、個々の販売データに応じてカスタマイズしたセールを提案するなど、データを活用したユーザーフレンドリーなサービスを提供したいと考えています。

(文・和田翔)

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