出品作品やノミネート作品が続々と発表されるなか、気になってくるのが日本作品の出品・ノミネート情報でしょう。
そこで朗報です。日本人のVRアニメーション監督・伊東ケイスケによるVR演劇『Typeman』が、本映画祭のクロスリアリティ(XR)部門「Venice Immersive」にノミネートされました。
なお、本作の製作を担当したのは、株式会社WOWOW(以下、WOWOW)と株式会社CinemaLeap(以下、CinemaLeap)です。
バーチャルワールドで演劇を披露
『Typeman』は、メタバース空間でアクター(演者)がリアルタイムに実演する演劇型のコンテンツ。WOWOW、CinemaLeapが製作を、VRアニメーション監督の伊東ケイスケが監督を努めました。『Typeman』では、タイピングマシンの頭を持つ“Typeman”を演じるアクターと、複数の体験者が一度に1つのバーチャルワールドに入り込むことが可能。アクターは空間内で演劇を披露し、体験者は間近でアクターの実演を鑑賞することができます。
内容は、体験者が古びたアパートの一室で、これまで多くの人間から必要とされていたものの、忘れられる存在となったTypemanと出会う……というもの。
アクターと体験者がコミュニケーションをとりながらストーリーが進むこの作品は、常に変化していく世界との向き合い方を、一歩立ち止まって考えるきっかけになるかもしれません。
VRアニメ『Beat』『Clap』
Typemanは、WOWOWとCinemaLeapが共同製作し、伊東ケイスケが監督を務めたVRアニメーション『Beat』『Clap』に続き、WOWOWとしては3年連続のノミネート作品となります。『Beat』は、心臓の鼓動を手で感じることができるHaptics(触覚)技術を用いたデバイスを利用した作品。心臓の鼓動が作中のアニメーション、音声とリアルタイムに同期することにより、体験者は自身の心臓の鼓動を目で見て、耳で聴き、手で感じながら作品を楽しめます。
一方『Clap』は、カメラでとらえた体験者の手と指の映像を深層学習で解析する「ハンドトラッキング機能」を備えたデバイスを活用した作品です。
体験者は、コントローラーを使わずにVR空間での操作を手を使って実行することが可能。自身の両手をVR空間内で認識し、「Clap=手をたたく」というインタラクションによりストーリーを進められます。
多様なインタラクティブXR作品を出展
本年で79回を迎えるヴェネチア国際映画祭は、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並ぶ世界三大映画祭の1つ。本映画祭のVR部門は、 2017年に新設された部門であり、今回で6回目を迎えます。また、本年度から、VR部門「Venice VRExpanded」をXR部門「Venice Immersive」として、バーチャルリアリティ技術だけでなく、あらゆるXRの創造的表現手段に対象を広げています。
なお、本年度の「Venice Immersive」では、360度ビデオ、インスタレーションやバーチャルワールドを含む、さまざまなインタラクティブXR作品を対象にしているとのことです。
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『Typeman』作品紹介ページ
(文・Haruka Isobe)