企業や自治体、大学や研究機関と連携して本年度中に10件のPoCを実施するとしており、11月にはβ版の正式提供に踏み切る見込みです。
海洋環境の解析には課題が多い
海洋資源は、水産業や海運業などと密接な関わりがあり、二酸化炭素の吸収源という観点でも大きな価値があると言われています。しかし、自然界の海洋環境で発生した事象のメカニズム解明は困難というのが現状。これは、環境を構成する各種パラメータのうちセンサーなどでデータ取得できるものが限定的であることや、天候などの影響で時系列データが取得しづらいこと、 沖合・海中といった定点での高頻度なデータ取得が高コストであることなどが要因だといいます。
任意の水環境を水槽に再現
そこで同社は、任意の海洋環境を水槽内に再現してモニタリングすることで水環境を可視化する「環境移送解析サービス」を開発。養殖業も含む水産業における大量死や環境アセスメントなどに課題を持つ事業者・自治体への提供を想定しています。クローズドβテストでは、事業者ごとの課題をヒアリングし、水槽内に再現可能な環境(モデル環境)を提案、専門家ネットワークから適切な解析手法の提案を受け、同社ラボにてモデル環境構築および解析を実行するようです。
サンゴの抱卵・季節外れの産卵に成功
同サービスの核とも言えるのが、海洋環境を水槽内に再現する“環境移送技術”。これは、天然海水を使わず水質をはじめ水温・水流・照明環境・微生物を含んださまざまな生物の関係性など、多岐にわたるパラメーターのバランスを取りながら、自社開発のIoTデバイスを用いて任意の生態系を再現するという技術です。同社はこの技術をもとに、東京のオフィスに設置した水槽で沖縄の久米島付近の海洋環境を再現。2020年5月にサンゴの人工抱卵を実現しました。
また、水槽内の季節を調整し、通常6月にしか産卵しないサンゴの真冬の産卵に成功。この産卵時期のコントロールにより、貴重な海洋資源であるサンゴの保全や研究が促進されるものと期待されています。
なおTechable(テッカブル)では、同社代表の高倉葉太氏にインタビューを実施していますので、興味のある方はこちらからどうぞ。
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(文・Higuchi)