馬鈴薯収穫時の課題
馬鈴薯の収穫に使用する積込作業用のタイヤショベルと配送用のトラックは、集荷場から圃場に配車され、タイヤショベルで掘り起こした馬鈴薯をトラックに積み込んで集荷場へ戻ります。しかし、タイヤショベルやトラックの台数・運転手には限りがあるため、集荷待ちにより作物が劣化するという課題があったようです。
また、ルートを作成する担当者の負担や運転手不足という現状からも、集荷・配送ルート作成の効率化とルート最適化が必要とされています。
AIルーティングで期待できる効果は?
そこで両社は、タイヤショベルとトラックのルートを生成し、集荷配送ルートを最適化するAIプログラムを開発。集荷希望日・場所、タイヤショベルとトラックの台数・時速、優先事項(時間や距離など)といった情報を入力すると、AIがルーティングします。たとえば、タイヤショベル1台とトラック3台で圃場21拠点の集荷をおこなうとき、タイヤショベルとトラック3台は別々のルートを設定され、各圃場で落ち合って積荷作業を繰り返すというルーティングになるようです。
このAIルーティングにより、作物の劣化抑制・ルート作成時間の削減・トラックの走行距離削減に伴う燃料コストおよびCO2排出量の低減に期待できるといいます。
今秋検証へ、将来的には他領域への展開も視野に
同AIは、今秋の収穫時期にJA士幌町で実証実験を実施予定。そこで効果検証とAIの高精度化を進め、来年度の本格導入を目指すといいます。また将来的には、農業だけではなく経路選択が必要な流通分野への展開も見据えて開発を進めるとのことです。
北海道大学発AIベンチャーの調和技研
同AIの開発に携わった調和技研は、北海道大学発のAIベンチャー。主に、AIの受託研究開発を中心に事業を展開してきました。直近では、株式会社LICが開発する統合型法律情報データベース「判例秘書」に言語系AIエンジン「Lango」を提供。約30万件におよぶ判例から、ユーザーが知りたい情報に簡単にアクセスできるアシスト機能を実現しています。
また、同社の画像系AIエンジン「visee」をベースとし、トヨタ自動車株式会社と共に製品異常検出AIエンジンも開発。2021年12月に、トヨタ自動車衣浦工場へ試験導入されました。
そんな同社は、4月に総額3億円の資金調達を実施したと発表。これを機に、受託開発のみならず、AIプロダクトの事業化にも乗り出すとのことでした。
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(文・Higuchi)