高齢者施設のトイレにおける課題
高齢者施設のトイレでは、利用状況や排便状況の確認といった業務が不可欠。しかし、転倒や排せつ時の粗相などに備えて頻繁に巡回しなくてはならないため、多くの時間を割いている状況だといいます。また、排便状況については、入居者へのヒアリングや目視確認した結果を手書きで記録するという運用が多く、記録漏れや便を見せることへの心理的抵抗などが課題となっているようです。
こういった課題を受けてLIXILは、高齢者施設におけるトイレソリューション「トイレからのお便り」を開発中。このたび、実証実験を開始しました。
センサーで利用通知、AIで排便記録
同実験では、IoTを活用した“トイレ利用通知”とAIによる“排便管理”という2つの機能を検証(ともに研究開発中)。“トイレ利用通知”は、トイレ内に設置したセンサーが入室や着座などあらかじめ設定した条件に沿って排せつ行為や異常事態を判定し、スタッフのスマートフォンに一斉通知するという機能。通知条件は適宜変更できるため、入居者の特性を加味した適切な介助をサポートできるといいます。
“排便管理”は、排便のタイミングや便の形・大きさを、AIで自動判定・記録する機能。その結果はステーションで一括確認できます。
今回は、トイレ利用通知を4セット、排便管理を2セット設置し、入居者のQOL向上とスタッフの業務負荷低減を検証予定です。
事業化を視野に検証中
「トイレからのお便り」は、研究開発中ではありますが、2019年の第46回国際福祉機器展へ出展されました。このとき、開発に注力していた機能が“排便管理”。AIによる便の判定に関しては、学習データとして約3000の画像を収集。専門家との連携によって、“形”を国際指標のブリストルスケールの7パターンに分類できるよう研究を進めているところでした。
今回の実験では、“排便管理”に“トイレ利用通知”を加えた「トイレからのお便り」を提供し、入居者およびスタッフの声をもとに事業化に必要な項目を確認するとのことです。
PR TIMES
株式会社LIXIL
(文・Higuchi)