結果、長距離自律飛行とドローンポートへの高精度な自動着陸に成功したようです。
軽量設計の電動VTOL固定翼ドローン
同実験で使用した機体は、空解が開発した電動VTOL固定翼ドローン「QUKAI FUSION 2.0」。いわゆる飛行機型のドローンですが、マルチコプター(回転翼機)のように垂直に離着陸できるのが特徴のひとつです。また、最大航続距離120kmという長距離飛行ができるのもポイント。マルチコプターの輸送距離(通常4~10km程度)を大幅に上回ります。
この長距離飛行を可能にしたのは、機体重量2.5kgという軽量設計。ここに最大容量の動力バッテリーを積んでも4kg、最大積載重量分の荷物を積んでも6.5kgにしかなりません。
軽量化により、長距離飛行が可能になったほか、万が一衝突したときの衝撃も抑えられるといいます。この安全性を社会受容性につなげたいとの思いもあるようです。
ドコモの高精度測位で誤差数cm内
ドローンの自律飛行において、長距離をいかに高精度で飛行できるかは重要なポイント。ドローンの位置測位には、GPSなどを活用しますが、GPSの単独測位では位置の誤差が数メートル発生することもあるといいます。特に海上など気流の変化が激しい場所では、数十メートルの高度誤差によって自律飛行による正確な着陸が困難になるケースもあるようです。
そこで今回は、ドコモの「docomo IoT 高精度GNSS位置情報サービス」で位置を測位。同サービスは、取得した衛星データと、地上の電子基準点(国土地理院提供)およびドコモ基準点で観測した位置情報をかけ合わせ、位置を補正することで数cmの誤差内の高精度測位を実現します。
この誤差の少ない位置情報をQUKAI FUSION 2.0に搭載したGNSS受信機へリアルタイムで配信。結果、海風の影響を受けながらも、あらかじめ設定した着陸ポイントに自動で正確に着陸したとのことです。
海上約40kmを約34分で飛行
今回「QUKAI FUSION 2.0」は、沖縄県豊見城市のオリオンECO美らSUNビーチ~座間味村の古座間味ビーチの約40.81kmを自律飛行。約34分かけて医薬品・食品・飲料などを運搬しました。座間味村の交通手段は1日3便の航路しかなく、村内には診療所しかありません。このたびは、災害や病気などの緊急時における村民の不安解消を目的とした緊急必需品の配送を想定した検証でした。
国内には、有人の離島が数百か所点在し、交通手段や物資調達などの課題を抱えているといいます。今回の検証成功は、そんな課題を解決する糸口となるかもしれません。
PR TIMES
株式会社空解
「docomo IoT 高精度GNSS位置情報サービス」
(文・Higuchi)