そしてこのたび、音声バイオマーカーの実用化の目処が立ったことから特許を共同出願。今後、医療機器化へ向けた共同研究開発を進める構えです。
少しの音声から心不全の状態を評価
音声バイオマーカーとは、AIなどにより開発されたアルゴリズムを活用し、音声データから疾患の有無や進行状態を評価するもの。今回紹介するのは、心不全の評価に特化した音声バイオマーカーです。心不全の症状には、肺・気道のむくみ(うっ血)や倦怠感など音声に影響を与えるものが多いと言われています。同音声バイオマーカーは、少しの音声からこれらの心不全特異的な音声症状を数値化できるようです。
この技術は、さまざまなシステムやアプリなどへ実装可能。そのため、アプリを通じたセルフモニタリングやクリニックでの定量評価、災害時など通院困難な状況での心不全管理に活用できるといいます。
医師の感覚をテクノロジーで指標化
心不全は、国内の患者数が120万人を超え、再入院率は年間35%と高く、入院期間や費用の面でも患者負担が非常に大きい心疾患のようです。進行や再入院を防ぐには、早期介入が有効との報告もあるようですが、そのための病態モニタリング手法が確立されていないのが現状だといいます。
そこで、PSTと市大センター病院の岡田興造医師ならびにY-NEXTの小林雄祐医師は、同音声バイオマーカーの開発に着手。日常臨床において声の変調などから心不全の重症度を判断する“医師の感覚”を、定量的で汎用性の高い新たな心不全指標として実用化することを目指しています。
PSTの“音声病態解析技術”を活用した取り組み
今回の音声バイオマーカー以外にも、PSTが有する“音声病態解析技術”を活用した取り組みが進んでいるようです。今年2月には、SOMPOグループと共に高齢者の音声から嚥下機能を評価する技術を開発。年内に事業化することを発表しました(詳しくはこちら)。
3月には、神奈川県立保健福祉大学と共に研究している、音声から新型コロナの重症度分類「軽症」と「中等症Ⅰ」を判別する技術で高精度な判別に成功したと発表。セルフスクリーニングを可能にするスマートフォンアプリなどの開発へ向けて研究を進めています(詳しくはこちら)。
またPSTは、さまざまな音声バイオマーカーを提供する医師向け病態サーチエンジン「VOISFIA(ボイスフィア)」を開発中。今回の音声バイオマーカーは、「VOISFIA」にも実装される見込みです。
PR TIMES
「VOISFIA」サービスサイト
Techable記事(1)(2)
(文・Higuchi)