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「売らない」コンセプトのWeb接客ツールが顧客への寄り添いを重視する理由

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麹池貴彦氏

ECサイトに訪問したときに、キャンペーンなどのポップアップ広告やクーポンが表示されるのはおなじみの光景です。

それらをうまく活用して、お得に買い物をしている人もいるでしょう。一方で、「少しうっとうしいな」と感じることもあるかもしれません。

5月にサービスの本格提供を開始したWeb接客ツール「KARAKURI hello」は、従来のWeb接客ツールのように「売る」ことを目的とせず、困りごとを解決することを目的にした「寄り添い型接客」をコンセプトに掲げています。

なぜ、顧客に寄り添うことが重要なのか?「売らない」ツールでも企業は収益を上げることができるのか?

同ツールを提供するカラクリ株式会社執行役員で、「KARAKURI hello」のプロダクトマーケティングマネージャーを務める麹池貴彦氏とPdMを務める泉裕一朗氏に話を伺いました。

顧客の困りごとを能動的にサポートする「KARAKURI hello」

——「KARAKURI hello」は、“売らないWeb接客ツール”とのことですが、Web接客ツールとしてはかなり個性的という印象です。特徴や従来のツールとの違いについて教えてください。

麹池:「KARAKURI hello」にはチャットボットの進化版としての側面と、顧客サポートを重視したWeb接客ツールとしての側面があります。

まず、チャットボットとしての特徴ですが、これまでのチャットボットは、お客さまがわからないことがあったときに、自ら質問を入力したり項目を選択したりして、お客さまからのアクションを待つ受動的なタイプでした。

一方で、「KARAKURI hello」は、お客さまが困っている様子を自動認識し、それに対して積極的にお声がけをする能動的な接客をおこないます。

——チャットボットで能動的な接客をおこなうことには、どんなメリットがあるのでしょうか?

麹池:じつは、Webサイトのチャットボットは、あまり使われていないケースが散見されています。

まず、アイコンが小さいなどの理由で存在自体に気づかれないことがあります。さらに、アイコンをクリックしても、どのように質問をしたらいいかわからないというケースも少なくありません。

たとえば、証券会社など専門用語の多い商品について詳しく聞きたいと思っても、どんなキーワードを入力したらいいかがわからず、そこで離脱が起きてしまいます。

——もうひとつの側面である、Web接客ツールとしての特徴についてもお聞かせください。

麹池:お客さまの行動に対するアクションの定義を完全に自動化しているという点が大きな特徴です。

一般的なWeb接客ツールの場合、お客さまの行動傾向を細かく分析して、「どんなアクションをすれば購入につながるのか」といったことを仮説検証し、「〇×という行動をとったお客さまには、キャンペーンを案内する」という設計をおこないます。

ただしこれには非常に手間がかかり、十分にWeb接客ツールの機能を使いこなせていない企業が多いのが現状です。「KARAKURI hello」はその工程をAIによって自動化することで、運用の負担を大きく軽減しています。

具体的には、サイトを訪れたお客さまのマウスの動きやページスクロール、ページの遷移といった行動ログと、チャットボットに寄せられたテキストデータなどの会話ログから、どんなことで困っているのかを判別して、それに合わせたメッセージと、チャットボットのQ&Aを表示しています。

たとえば、決済に関することで迷っていそうだと判別した場合は、「決済方法についてお困りですか?」といったメッセージが現れて、クリックするとQ&Aの詳細を見ることができるといったイメージです。

商品を売り込むのではなく、「寄り添う」ことを重視

——顧客サポートにフォーカスしているのは、今までのようなクーポンを積極的に出すようなWeb接客をユーザーが好まなくなってきたからということでしょうか?

麹池:その傾向はあると思います。私たちが約2000人のEC利用者を対象にネットでおこなったリサーチでは、約2割の方がポップアップ広告やクーポンの表示が多くてサイトが見づらかったことを理由に購入を見送ったり、そのサイトに再訪問しなかったりしたという結果になりました。

また、クーポンを多用するもうひとつの弊害として、お客さまがそれに慣れてしまうということもあげられます。たとえば、毎月定期的にクーポンを配信しているサイトなら、「次のクーポンが出るまで買うのをやめよう」と購入を見送られてしまう可能性があります。

もちろん、適切なタイミングでクーポンを出すことによって効果的な訴求ができるケースもあるので、クーポンが一概によくないわけではありませんが、多用するのは逆効果になる可能性が高いと考えています。

——「KARAKURI hello」は既存顧客を大切にしているツールとのことですが、その理由について教えてください。

麹池:マーケティングの観点で考えた場合、どうしても新規顧客の獲得が最重要の論点になりがちです。しかし、もし最初の買い物でなにか不満があれば、次は利用していただけないかもしれません。

一度接点をもったお客さまに再度訪問していただき、継続的な関係を築けるようなサービスを提供することは、企業にとってもお客さまにとっても価値のあることだと考えています。

コロナ禍でECが一気に伸びた影響もあり、今はお客さまがネットで商品を購入するときの選択肢がたくさんあります。そのため、わからないことがあっても、それをチャットボットやFAQを使って解決するのではなく、別のサイトで商品を買うことを選んでしまう可能性がとても高くなっています。

せっかく商品自体を気に入って購入画面まで進んでいただいたのに、たとえば決済方法がわからない、プレゼント用に買いたいのに配送先を変える方法がわからない、といった理由で離脱されてしまうのは非常にもったいないことです。

そこを食い止めるためには、お客さまの立場に立ち、困りごとを手間なく解決してスムーズに購入できる体験価値を提供することが必要だと考えています。

チャットボットの起動率や利用率、満足率が改善

——導入企業からの反応や成果についてお聞かせください。

麹池:現在は、ECや金融系、Webサービス系の企業に利用いただいており、とてもいい評価をいただいています。

具体的には、銀行でご利用いただいた事例で、チャットボットの起動率や、起動後に実際にチャットボットを利用した人の割合を示す利用率が20%、利用後に表示されるアンケートでの顧客満足率が13%あがったなど、いずれも明確に改善できたという結果が出ています。

——これは、麹池さん、泉さんのお二人にお聞きしたいのですが、これから新たに追加したい機能や、今後の展望などはありますでしょうか?

麹池:お客さまの自動セグメンテーションを、より細かくおこなえるようにしたいと考えています。

たとえば、有料会員なのか無料会員なのか、過去の購買回数が多いのか少ないのかといった情報で切り分けることができれば、より価値の高いサービスを提供できると思っています。

最近は、以前に比べるとカスタマーサポートの重要性が認知されるようになってきましたが、まだ十分に定着していないように感じます。

「KARAKURI hello」を通じて、商品を売り込むのではなく、相手に寄り添い、そのお客さまが求めていることを実現するための接客をするというマインドを広げていきたいです。

:カラクリでは、FAQや有人チャットなどのチャットボット以外のサービスも提供しているので、それらの機能との連携も強化していきたいです。

具体的には、チャットボットを使い慣れないお客さまの困りごとを予測したうえでFAQに誘導したり、それでも解決が難しそうな場合は、有人チャットへの導線を設けたりといったことを考えています。

泉裕一朗氏

——今後、「KARAKURI hello」を、どのような企業に使ってほしいとお考えですか?

:カスタマーサービスを通して顧客満足度を高め、お客さまとの長期的な関係を築いていくことを重視するカルチャーの企業であれば、「KARAKURI hello」のコンセプトと親和性が高いと思います。

私たちも同じ思いで向き合っていきますので、そういった企業にはぜひ使っていただきたいですね。

(文・酒井麻里子)
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