2022年中に国内外の航空機、ドローン、自動運転、防衛装備業界などへの提案を開始する予定です。
非常時にドローン内のデータを無効化
インテグリティ・ドローンは、データを「それ自体は意味を持たない、いくつかの分散片」に分け、それぞれの分散片を別の環境で管理することで外部へのデータ流出を防ぐ「秘密分散技術」をマイクロ化し、ドローンや移動型ロボットに搭載する技術。通信が途絶したドローンのデータを瞬時に無効化するため、仮に悪意ある第三者の手に渡ったとしても、機密データの復元や自律航行プログラムの逆アセンブルをおこなうことが不可能となります。
なお、今回開発する秘密分散プログラム自体は小さく軽快であるため、ドローンの運用効率が損なわれることはありません。
さまざまな機密情報を含むドローン
産業領域や物流領域において、有翼型・マルチコプター型のドローンが使用される機会が非常に多くなってきた近年。とくに、安全保障の点でもドローンの重要性は増しつつあり、重要施設や機密施設、警察・消防でもドローンや自律移動型ロボットの利用が進んでいるといいます。
しかし、ドローンは空を飛ぶ飛翔体であるため、通信途絶により予期せぬ場所に飛んで行ったり、落下してしまったりするケースが多くあるとのこと。
ドローンは、各社の技術を詰め込んだ自律移動用のプログラムや、飛行経路の情報、プライバシー情報といった機密情報を多数含んでいるため、紛失をはじめとする異常事態の際は、テクノロジーの逆アセンブルや情報漏洩といったリスクがあります。
ドローンのデータセキュリティ強化が重要視されるなか、アイ・ロボティクスはネクストウェア、ZenmuTechと共同で、インテグリティ・ドローン技術を検証しました。
ドローンを利用した石油タンクの塗装を実施
アイ・ロボティクスはインテグリティ・ドローン技術の検証のほか、ドローンにまつわるさまざまな取り組みを実施しています。2022年6月には、ENEOS株式会社とともにドローンを利用して石油タンクの塗装をおこなう実証実験を実施したことを発表しました。
実験では、上空に静止させたドローンから電動ウインチで外壁吸着ロボットを吊り上げ、外壁吸着ロボットに特殊なデバイスを搭載して高圧洗浄や塗装を実施。
ドローンの挙動と電動ウインチの巻き上げスピード、吹付スピードや塗料の粘度などを、高度なすり合わせ技術により精密制御しました。
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(文・Haruka Isobe)