「BOCCO」を通じて気象・防災情報を発信
2021年12月〜2022年3月31日にかけておこなった今回の実験は、大阪府大阪市城東区森之宮地域の独居高齢者を対象に、コミュニケーションロボット「BOCCO」を通じて、気象・防災情報を発信したり、日常の買い物をサポートしたりするというもの。高齢者宅内に設置したBOCCOを介して、気象・防災情報や、森之宮病院からの健康や医療に関する情報の発信、セコムのオペレーターによる高齢者の健康状態のヒアリングをおこないました。
そのほか、近隣のコンビニエンスストアで日用品の注文や配達など買い物補助のサービスを実施。
「水1ケースと納豆2パックがほしい」など、高齢者がほしい商品を宅内のBOCCOに話しかけて注文すると、セコムのオペレーターが注文をとりまとめて店舗へ連絡、店内のBOCCOが店員に伝えます。
注文内容を店員が確認後、受領確認と会計内容を宅内のBOCCOにアナウンスし、その後、高齢者宅まで配達するという仕組みです。
音声でメッセージでやりとりできるロボット
「BOCCO」は、インターネット経由でスマホと音声メッセージのやりとりができるコミュニケーションロボット。BOCCO側から送った声を文字化したり、スマホから送った文字メッセージを読み上げたりします。幼い子どもや高齢の家族など、スマートフォンの操作ができない相手と簡単にコミュニケーションがとれるようです。
また、宅内に設置されたセンサの情報とBOCCOを連動することにより、外出先からのドアや鍵の開閉や、部屋の温湿度・照度のスマホ通知が可能。防犯対策や熱中症予防に活用できるでしょう。
なお、ユカイ工学はBOCCOのほか、BOCCOの基本機能をそのままに、ハンズフリー対話、雑談への反応を実現する次世代モデル「BOCCO emo」を提供しています。
高齢者の独居率が高い森之宮地域
大阪府大阪市城東区森之宮地域は、区内でも高齢者が32.6%と多く、独居率が47.7%に上り、毎年数名の孤独死が発生しているといいます。地域の高齢化に加え、コロナ禍の影響も受け、近年は以前よりも住民間の接点も減っており、大規模な災害が発生した場合の避難誘導に関する課題が浮上しているようです。
こうした課題を受け、ユカイ工学は各個人への効率的なサポートを目指し、ICTを活用した防災・見守りサービスを検討していましたが、スマートフォンの利用が少ないとされる高齢者への展開が困難な状況にあったとのこと。
タブレットをはじめとするデジタルインターフェイス以外のツールを模索した末、ユカイ工学はBOCCOを活用した防災・見守りサービスの実証実験を実施。
同社は、今後もセコムや自治体と連携し、見守りの行き届いていない地域や課題に対して、サポートを展開していく方針です。
PRTIMES
BOCCO
(文・Haruka Isobe)