ウエアラブルデバイスの弱点は“体動”?
近年、心拍などのバイタルデータを計測できるウエアラブルデバイスが普及し、健康管理や高齢者の見守り、アスリートのコンディション管理などに活用されています。しかし、ウエアラブルデバイスの多くは“体動に起因したノイズ”の影響を受けやすく、高精度のバイタルデータを日常的に取得するのは難しいとか。そのため、医療機関や研究機関、デジタルヘルスの機器開発における活用は困難だったようです。
そこで、ミツフジの銀めっき導電性繊維「AGposs(エージーポス)」と、住友ベークライトのシリコーンゴム「DuraQ」を組み合わせ、体動ノイズを大幅に減少させるウエアラブルセンサーを開発しました。
銀めっき繊維「AGposs」×導電性ペースト「DuraQ」
「AGposs」は、導電性・洗濯耐久性・伸縮性・抗菌防臭に優れた銀めっき繊維。芯材のナイロンを銀で被った“銀の性質を持った糸”のため、ウエアラブルセンサーや電極テープなど多様な製品に姿を変えます。一方「DuraQ」は、引裂き強度の高いシリコーンゴムに導電性を付与した導電性ペースト。伸長時にも優れた電気特性を維持します。
今回は、AGpossで作られた導電布にDuraQを塗布したウエアラブルセンサーを開発。体動ノイズが極めて少ない心泊波形の取得に成功しました。
なお、AGpossを編み込んだミツフジ従来の着衣型ウエアラブデバイスでは、歩行時のデータ精度が74%だったのに対し、今回のセンサーは99%となったようです。
汎用性の高いデバイスとして
このセンサーは、生地への取りつけやすさや伸縮性に優れ、リネン洗濯耐性および耐薬品性も備えているといいます。加えて、一般社団法人食品薬品安全センターでの皮膚に対する生体適合性試験にて安全性を確認しているとのこと。同センサーは、日常生活で違和感なく着用できる汎用性の高いデバイスとして製品化できると期待されています。
体調変化の早期発見はもちろん、これまで困難だった日常生活の高精度なバイタルデータの取得および活用、アスリートのパフォーマンス時のコンディション管理など幅広く活用できるでしょう。また、メンタルヘルスケアや眠気の検出による居眠り運転の防止などにも応用可能とのことです。
PR TIMES
ミツフジ株式会社
住友ベークライト株式会社
(文・Higuchi)