離れた海域でオンライン診療ができる「ZMO」
ZMOは、在宅医療や離島・へき地などの環境でオンライン診療を提供するシステム。船上でのオンライン診療を提供するほか、医師が処方する薬を寄港地などに届ける仕組みを構築します。ビデオ通話機能のほか、写真・テキスト・動画などを共有する機能を搭載しており、オンライン診療中に患者の病変部位や、処方箋などを撮影することができます。また、撮影した処方箋の画像を医療機関から薬局へ共有するといった使い方があるとのこと。
なお、内航海運向け事業展開に際しておこなった、ZMOを用いた「海上で電波強度を確認する実証実験」では、陸地からおよそ40km程度離れた海域でのビデオ通信に成功したようです。
陸上労働者に比べ平均疾病発生率が高い船員
日常生活や医療に必要な物資を流通させる内航船員は、陸から離れた船舶という特殊環境下で長期間勤務しているといいます。内航船のなかには3か月ほど航海を続けるケースがあり、その期間内に医療機関への受診を希望する船員は少なくないとのこと。
国土交通省によると、2017年度の船員の平均疾病発生率は0.81%であり、陸上労働者の疾病率の0.41%と比較して高い状況にあるようです。
船員の健康確保の必要性が高まるなか、日本調剤は以前から内航海運向け事業を展開しているゼクトと協力し、慢性疾患を抱える内航船員の治療・服薬をサポートする体制を整備しました。
治療の質やスピードの向上に貢献
このたび開始するZMOを用いたオンライン服薬指導により、海上で薬が不足した場合や処方量の調整が必要になった場合に速やかな対応をおこない、治療の質・スピードの向上に貢献するといいます。日本調剤株式会社は、「長期間の乗船であっても船員の皆さまが安心していただけるよう、体調変化があった際にもサポートしてまいります」と語り、今後も「すべての人の『生きる』に向き合う」をモットーに、医療と社会に貢献していく方針です。
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国土交通省「船員の健康確保に向けて」
(文・Haruka Isobe)