2020年4月に開始した同プロジェクトは、要素技術の研究とシステム開発を終え、今年4月より全国の高速道路で試験運用を開始しました。
地図と現場の違いをAIで自動抽出、地図を更新
同プロジェクトは、ドライブレコーダーのデータをもとに、地図と実際の道路情報の違いをAIなどを用いて自動抽出し、地図メンテナンスに活用しようというものです。具体的には、「ドライブレコーダーに映っている規制標識が地図上にはない」などの違いを発見した際、地図上に同じ規制標識を加えるといった作業を行います。
ドラレコ3万台以上、全国の高速を1ヶ月で網羅可能?
ドライブレコーダーのデータ収集に活用するのは、MoTが展開するAIドラレコサービス「DRIVE CHART」です。同サービスは、AIドライブレコーダーが、さまざまなリスク運転(脇見運転・車間距離不足・急発進など)を検知して運転行動を分析。結果をレポート化するとともに、危険なシーンだけを動画でピックアップして注意を促します。
このほか、遠隔動画取得・走行軌跡表示・ドライバー顔認証・日報や月報の自動生成など便利な機能も特徴です。
そんな「DRIVE CHART」は、物流事業者などを中心に全国3万台以上の車両へAIドライブレコーダーを提供。これにより、全国の高速道路(総距離約3万km)のうち約9割を1ヶ月で走行できる可能性があるといいます。
LED式速度制限標識という課題に対して
ドライブレコーダーのデータを活用するにあたり、課題もありました。それは、高速道路上のLED式速度制限標識が撮影周波数の関係でドライブレコーダーに映らない瞬間があるということです。この課題に対しMoTは、映像中で検出した標識を追跡し、LEDの数値がはっきり見える瞬間を自動的に選んで読み取るという手法を考案。この方法で、読み取り正解率97%以上を達成したようです。
自動運転社会の基盤を目指す
4月の試験運用開始に伴いまずは、全国の高速道路にて規制標識の変化を自動検出。今後は、一般道路への拡張と取得情報(レーンや道幅など)の増加を予定しているようです。こうして自動運転に必要不可欠となる高鮮度な情報を網羅的に収集し、いち早い地図への反映・車両への変化点速報に活用することで、自動運転社会の基盤となることを目指すといいます。
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「DRIVE CHART」公式サイト
(文・Higuchi)