巨大空間に絵画の世界を再現
「Immersive Museum」は、高さ6m・約700㎡ある巨大空間の壁と床にプロジェクター数十台を用いて没入映像を投影し、特別な音響効果を組み合わせることで名画の世界を再現。鑑賞者は、全身で名画の世界に入り込んだような体験が可能です。同展は、単なる“絵画の映像化”ではありません。ポイントは、瞬間の光をとらえた印象派絵画に“時間”を与え、鑑賞者との距離や大きさという“スケール”を変え、編集や音楽の“文脈”を加える展示手法。
これにより、“視点の転換”を生み出し、鑑賞者は画家自身になったかのような体験ができるといいます。
多様な手法で鑑賞体験をアップデート
同展では、早稲田大学 文学学術院 坂上桂子教授監修のもと、モネをはじめとする印象派8名の作品約70点を展示。19世紀フランスで絵画の世界に大きな革新をもたらした作品群を8つのシーンにわけ、各シーンにテーマを設けて多様な手法でその世界観を再現します。たとえば、モネが見たであろうル・アーヴル港をCGで再現して絵画と融合させる「印象、日の出」や、同じ風景の異なる瞬間を切り取った作品群をつなげて時間の移ろいを演出する「モネの連作」などがあるようです。
鑑賞者の目線などに応じて動くデジタルアートも
また、先述の没入映像体験のあとに別空間で体験できるインタラクティブ展示エリアも開設。「呼吸する絵」をテーマとしたこのエリアには、ルノワールの『少女イレーヌ』と『猫と眠る少女』、カイユボットの『ボート漕ぎ』がデジタルアートで展示されます。それぞれの作品の前に立つと、絵画が鑑賞者の目線や動作などを検知。その動きに応じて絵画のなかに描かれた人物や風景がまるで意思をもっているかのように動き出し、絵画の息づかいを感じられるといいます。
たとえば、鑑賞者から目をそらすように斜め前方に顔を向けている少女・イレーヌの肖像画は、鑑賞者の視線や向きにあわせて顔が変化するとか。もしかすると、イレーヌと視線を合わせられるかもしれません。
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「Immersive Museum」公式サイト
(文・Higuchi)