検証では、フック不使用者を90%以上の精度で正しく認識できることを確認したといいます。
カメラ映像からフックの不使用状態を自動判定
日立ソリューションズは、検証にあたり、事前に複数現場で収集した延べ6000件以上の画像を学習したAIモデルを構築。同AIモデルは、建設現場のカメラ映像から「フック」、墜落制止用器具を引っかけるための「親綱」、親綱を設置する際に使用する「親綱支柱」を検出し、フックが親綱にかかっていない不使用状態を自動判定します。
埼玉県にある鉄骨建方中の建設現場でおこなった検証では、カメラと対象の作業員の距離が15m以内、なおかつ人や物が重なっていないという条件下において、フック不使用者を90%以上の精度で認識できることを確認したといいます。
墜落・転落による事故の防止を目指して
厚生労働省によると、2020年に発生した国内の労働災害において、墜落・転落による死亡事故が191件と多く、死傷者数は2万人にものぼっているとのこと。なお、建設業の死傷災害のうち、墜落・転落による死傷者数は4756人。前年と比べて415 人減少したものの、事故原因のなかで最も多い結果となっています。
建設現場における墜落・転落災害の撲滅に向けて、より効果的な安全対策が求められるなか、日立ソリューションズと奥村組は画像認識AI技術を活用して、AIモデルの構築に着手しました。
管理者が遠隔で安全状態を把握するシステムづくりを
日立ソリューションズと奥村組は、2022年の夏から共同開発により、AIモデルに「フックの不使用状態が一定時間続いた場合にメールや警報機器で管理者や現場の作業員に通知する機能」を付加してシステム化し、2023年から販売を開始する予定です。通知機能により、管理者は、遠隔で作業員の不安全行動を検知し、適切に管理できるとのこと。
日立ソリューションズらは、今後も建設現場におけるDXを推進し、安全性や生産性の向上を図っていく方針です。
PR TIMES
厚生労働省 令和2年 労働災害発生状況
厚生労働省 令和2年労働災害発生状況の分析等
(文・Haruka Isobe)