とはいえ、購入者にとって、ネットで服を購入する際には、どうしてもリスクが付きまとう。スクリーンで見えている色や質感が思ったとおりのものなのか、自分の肌色に似合うのか、体型に合っているのか……。このあたりはやはり、どうしても実際に試着してみないとわからない。
しかし小売店の試着室といえば、技術の進化にも関わらず、未だにアナログなまま。そこで登場したのが、Microsoft、Accenture、Avanadeの3社が開発した「Connected Fitting Room」である。テクノロジーを取り入れ、タッチスクリーンを実装したスマート試着室だ。
顧客はこの試着室に入る際に、試着するアイテムのRFIDタグを登録。すると、試着アイテムのカラーやサイズなどの情報が、試着室内に設置されたタッチスクリーンに表示される。もし実際試着してみて、サイズや色を交換したいと思ったときは、ユーザーはスクリーンをクリックするだけ。
このシステムはリアルタイムの店の在庫状況を反映しており、試着室からの要望を受けると、すぐに店員が追加や代替アイテムを試着室に持ってきてくれるという仕組み。
タッチスクリーンには、試着アイテムにおすすめのコーディネイトや、類似アイテムも併せて表示してくれるので、ユーザーは買い物の参考にできる。もし気に入ったアイテムがあったものの、今日は買えないという場合には、オンラインアカウントにログインして、欲しいものリストに追加することも可能だ。
わざわざ店員を何度も呼びつけて、アイテムを交換するのが心苦しかった人にとって、とても便利なシステムだろう。もちろん、購入者側に有益というだけでなく、店側にとっても、客がどういうアイテムを試着し、実際購入していくのかといった統計を重ねることで、店のラインナップやディスプレイの調整をしたり、在庫の追加のニーズなどをいち早くキャッチすることができ、おすすめアイテムを情報を提供することで、新たな販売促進につなげられる可能性もある。
双方にメリットをもたらしそうな、この“次世代試着室”は、現在、アメリカ国内のKohl’sデパートで導入されているが、イギリスへの展開も予定しているという。
Connected Fitting Room