耳と鼻口を覆うデザインの空気清浄機能が付いたヘッドフォン「Dyson Zone」です。SF映画を彷彿とさせるような外観ですが、もちろんフィクションではなくダイソンが開発に6年をかけた渾身のデバイスです。
オーディオ初挑戦
Dyson Zoneは迫力のあるサウンドと同時に、浄化された空気を鼻と口に提供するというもの。掃除機のダイソンがなぜ?と思う人もいるかもしれませんが、同社は空気清浄機も展開していて、有害物質を空気から除去するという確立済みの技術を今回のデバイスにも活用しています。一方で、オーディオ技術に関しては初挑戦で、しかも空気清浄機能と融合させるという取り組みはかなり果敢なものです。
マイク8個搭載
まずオーディオ機能ですが、両耳を覆うオーバーイヤー型で、各イヤーカップに高性能ネオジム系電気音響システムを搭載しています。またマイク8個を使用したアクティブノイズキャンセリングシステムで騒音をカットしています。広い周波数特性、正確な左右バランス、人間の耳に聞こえないレベル以下の歪みなど、同社は「ミュージシャンやクリエイターが意図した音を忠実に再現できる」とうたいます。
フィルター2種で浄化
イヤーカップには精密加工されたコンプレッサーも搭載されていて、これは空気を取り込むためです。取り込まれた空気は2種類のフィルターで浄化されます。静電フィルターで花粉や超微粒子などを99%とらえ、もう1つの活性炭フィルターで二酸化窒素や二酸化硫黄といった有毒ガスをとらえるとのことです。
空気清浄機能をオンにすると、浄化された空気が絶えず鼻と口の部分に送られる仕組みです。清浄機能は強度や稼働モードが異なる4つのモードから選べます。
500以上のプロトタイプの末に登場した斬新な機能とデザインのDyson Zoneですが、使用をためらう人も少なくなさそうです。ただ、新型コロナウイルス感染症ではそれまでマスク着用の習慣がなかった国でもマスクが当たり前のものになったように、実用性が認められれば人々の目や暮らしに意外に早く馴染むのかもしれません。
Dyson Zoneは今秋発売ですが、日本での展開は現時点では明らかになっていません。
Dyson
(文・Mizoguchi)