これまで、人型協働ロボット「Foodly」を食品企業3社へ導入し、ロボットフレンドリーな食品工場の運用を検討してきました。そして3月より弁当・レトルト惣菜の実生産ラインにて「Foodly」が稼働しはじめたとのことです。
簡単な運用と安全設計
「Foodly」は、小柄な成人サイズの双腕人型ロボット。Google社のフレームワークTensorFlowを活用したディープラーニングにより、食品コンテナにばら積みされた形の違う食材を一つひとつ認識してピッキングし、弁当箱・トレイへ盛り付けます。導入前にアールティが食材・容器の学習を行うため、現場ではモニタを使って食材や容器を選択するだけで運用可能。ロボット用の照明条件の設定やティーチングは必要ありません。また、充電式バッテリーや簡単に移動できるキャスターを実装したことで、大規模な設置環境整備や電源工事も不要です。
さらに、人と隣同士で作業することを前提にした設計もポイント。人の動きに合わせた適度な作業速度や人と接触しても衝撃が少ない仕様、圧迫感のないサイズなどが特徴です。
「Foodly」のために製造工程を工夫
同事業では、弁当を製造する株式会社ヒライ(以下、ヒライ)と藤本食品株式会社、レトルト惣菜を製造するイチビキ株式会社(以下、イチビキ)の工場に「Foodly」を2台ずつ試験導入。各工場にて、Foodlyが盛り付け作業をしやすい容器・食材の調理方法・機材配置などを調整しました。ヒライではおかずの形状を変えるなどFoodlyのために工夫を施した弁当を「ロボフレ弁当」と名づけ、来年度以降ヒライ実店舗での販売を予定しています。イチビキでは専用トングやプログラムを開発し、レトルト惣菜「赤から具だくさんのつくねと白菜のスープ」をすでに約3000食出荷しました。
食品工場の自動化・省人化を後押し
このように、ロボットフレンドリーな環境・運用方法を検討するなかで、食品企業3社それぞれのノウハウやロボット導入への課題を共有できたといいます。今後は、これらのデータをロボット開発に活用するとのことです。またこのデータを、ロボット導入にハードルを感じている現場に対するひとつの指標としても活用する方針。となると、人が作業する前提で構築された現場環境をロボットフレンドリーに変える際のコストやスタッフの受容性など、自動化・省人化へ向けた課題を解決しやすいコンセプトのFoodlyに注目が集まるでしょう。
ちなみに同社は、鈴茂器工株式会社の海苔巻きロボットと連携する「Foodly スズモコラボモデル」も開発。既存ロボットに特別なカスタマイズを施すことなく、作業を自動化することに成功しています。
PR TIMES
株式会社アールティ
(文・Higuchi)