同レポートを「メタバースで会いましょう – ビジネスを再創造するテクノロジーと体験の融合」と題し、メタバースの普及に伴い人々の体験が変わりつつある今、企業が成長するために必要な意思決定について言及しています。
また、拡大するメタバースを競争の場と捉える企業の成長を支援するため、新組織「アクセンチュア メタバース コンティニウム ビジネスグループ」を設立しました。
メタバース構築は、チャンスであり責務でもある
今回は、世界2万4000人の消費者と、日本を含む35カ国・23の業界にわたる4650人の上級役職者や役員を対象に調査を実施。また、テクノロジー分野の有識者や業界の専門家、アクセンチュアの経営幹部に対するインタビューも実施しました。分析に関しては、公的機関・民間企業・研究機関・VC・ベンチャー企業に在籍する25名以上の有識者で構成される「テクノロジービジョン外部諮問委員会」から収集された知見を参考にしています。
結果、メタバースの黎明期である現段階において、上級役職者・役員の71%が「メタバースは自社にポジティブなインパクトをもたらす」と回答し、42%が「メタバースは画期的もしくは革新的なものになる」と回答しました。
これを受け、アクセンチュアのポール・ドーアティ氏は「(企業にとって)責任あるメタバースを構築することがチャンスであると同時に責務でもあります。今日の行動と選択が、未来の成長をもたらすことになります」とコメントしています。
メタバースは、一貫性を持った三次元空間へ
同レポートでは、メタバースの構築・活用に重きを置くビジネス環境下において、企業が押さえるべき4つのテクノロジートレンドを定義しました。1つ目は、「WebMe:メタバースの中の『私』」。メタバースは今後、歩いて部屋を移動するように、ある場所から別の場所への移動を簡単に実現する一貫性を持った三次元空間になるといいます。一貫性を持つということは、シームレスな移動のほか、データの統合なども必要になってくるでしょう。
実際に、調査対象である企業経営層やIT担当幹部の95%が「将来のデジタルプラットフォームでは一貫した体験を提供し、異なるプラットフォームや空間における顧客データの相互運用を実現する必要がある」と答えています。
デジタルとリアルの境目があいまいになると……
2つ目は、「プログラム可能な世界:世の中をパーソナライズする」。5G・拡張現実・アンビエントコンピューティングなど新興テクノロジーが進化するにつれ、デジタルとリアルの境目はますます曖昧になります。そうなれば、人々が世の中や他者とつながる方法、それらをコントロールする方法が一新されるでしょう。調査では、92%が「先進企業が仮想世界の垣根を取り払い現実に近づけることで、仮想世界と現実世界の一貫性に対するニーズは高まるだろう」と回答したようです。
企業の最重要課題は、AIの活用
3つ目は、「アンリアル:本物の世界を人工的に作る」。企業がAIによる現実世界を反映したデータの利活用を進めるなか、企業も消費者も企業のコンテンツやブランドに関して信頼できる本物か否かを重視しているといいます。つまり、AIの活用はこれまで以上に企業の最重要課題と言えるでしょう。実在しないアンリアルな世界が現実となりつつある今、企業はAIを効果的に活用する必要があるといいます。調査では、すでに96%が「データの出処や偽りのないAI活用の立証に取り組んでいる」と回答しました。
次世代コンピューティングで困難な課題を解決へ
4つ目は、「不可能を可能にするコンピューティング:新たなマシンが可能性を切り開く」。量子コンピューティングなど新たなマシンの隆盛により、従来のコンピューティングでは費用や効率性がネックとなっていた困難な課題も解決できるようになりました。課題解決のハードルが下がることで、競争や価値創出、協業のあり方は大きく変化するものと見られています。調査では、94%が「難解に見える課題の解決に向けて次世代コンピューティングを活用することが長期的な成功を左右する」と答えました。
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(文・Higuchi)