またiStockを運営するゲッティイメージズは、世界的な市場調査会社であるMarketCast社と提携して実施している調査の結果をもとに、「今、求められているビジュアルコンテンツ」を具体的な数字とともに明らかにするガイドライン「Visual GPS」を作成しています。
そして3月8日(火)の国際女性デーに合わせて「iStock Creative Trends」は、広告メディアに根深く残る女性へのステレオタイプについて新たな調査結果を公表。「Visual GPS」の結果も踏まえ考察しています。
日本で根深いステレオタイプ「子育て=女性」
調査結果によると、広告ビジュアルには男性よりも女性の方が多く描かれているといいます。iStock内でも、人気の高いビジュアルの30%に女性が登場しているようです。ひと言で「女性が登場している」といっても、そのビジュアルはさまざま。しかしそのなかで、「子育てをしている女性」のビジュアルに人気が集まっているようです。
世界的にみると「子育て女性」は男性よりも1.36倍多く選ばれ、日本では2倍多く選ばれているとか。このことから、日本における「子育て=女性」というステレオタイプが世界水準でみても高いことを示していると分析しています。
ちなみに、「子育て」以外にも家事・掃除・サービス業などは男性より女性の登場率が高いようです。
偏ったビジュアルイメージが、差別を生む?
「Visual GPS」には、ウェルネスやテクノロジーなどのカテゴリがあり、それぞれを上手に表現できる画像や映像の選び方を掲載。主に契約フォトグラファー向けの撮影指導などに活用されるものですが、今回はその内容も踏まえて調査結果を考察しています。「Visual GPS」の調査では、ほぼすべての国の女性が「広告に自分が共感できる人が十分に表現されていない」と回答。女性が多く描かれているにも関わらず、そのビジュアルには偏りがあると推察できるでしょう。
また、世界中の女性の3人に2人は、あらゆる形態の偏見・差別を経験していると回答。その内容として「体型・サイズ」が26%と最も高く、「年齢(21%)」「所得水準(16%)」と続きます。
一方iStockで人気の女性ビジュアルを見ると、「若くてスリム・異性愛者・障がいがない」ものが選ばれていることがほとんど。LGBTQ+の女性は1%未満、障がいを持つ女性は1%しか登場しません。
このことから、女性が偏見・差別を感じる背景には、一般的なビジュアルや広告における女性の描かれ方に多角的な見方が欠如し、ビジュアルイメージが偏ったステレオタイプを形成していることがあると分析しています。
企業に求められる“リアリティ”
「iStock」は、企業が多角的な視点を持って女性を描く必要性にも言及。「Visual GPS」の調査において、“性別に関係なく、企業がダイバーシティに取り組んでいると思う理由”の第1位は「広告やコミュニケーションにおいて、一貫して幅広い人々、ライフスタイルまたは文化を表現している」でした。「Visual GPS」のカテゴリのひとつ“リアリティ”では、人と人の違いを認め、自分と異なる人が歩んでいる人生を思いやり、みんなでひとつという認識を全行為に個人レベルとプロレベルで反映させることが重要と明記。またそのなかで、「ビジュアル表現を通じてブランドの信頼を確立するには、リアリティとありのままの表現が大切」としています。
つまりこれからは、ジェンダーアイデンティティやボディサイズ、年齢、障がいの有無に偏りなく、ありのままの女性を描いていくことが重要なのかもしれません。
PR TIMES
「Visual GPS」
(文・Higuchi)