2022年3月18(金)、19日(土)に関西地区で放送予定の開局70周年ドラマ「インバージョン」の制作過程(1月〜2月)において、AIやクラウドソリューションを活用した映像制作のDXに取り組みました。
アナログだったドラマ撮影の現場
これまでドラマ撮影後の作業には、膨大な労力と時間が不可欠とされてきました。ロケ地や役者のスケジュールなどの事情から、撮影時と編集・放送時の順番が異なることがあり、映像に写ったボールド(カチンコ)の情報や音声素材のタイムスタンプ、内容などを人の目で読み取り、手動でシーン分けやフォルダ分けなどの編集作業を行う必要があったためです。
このような状況を改善し、効率的で働きやすい環境を作ることを目的として、MBSではこれまでも番組制作のDX化を進めてきたといいます。
人間が行っていた作業を自動化
今回の実証実験では、制作時にシーンやカット、テイク数、撮影後のOK/NGなどの情報を入力した電子ボールドアプリをスマートフォンやタブレットに入れ、そのQRコード画面を読み取ったうえで各シーンを撮影。撮影した素材をクラウド上にアップロードすることで、映像認識AIが自動的に電子ボールドの情報を認識します。認識された情報はクラウドコンテンツ/ワークフロー管理ソリューションにより、話数やシーンごとに自動的にフォルダ分けされるほか、メタデータも自動で付与。また、映像と別に収録されたマイクの音声素材についてもAIによる音声認識により、自動で映像素材と紐づけて格納することができるそうです。
こうして、これまで人間が行っていた作業を自動化することに成功、効率化を実現できたといいます。
また、撮影後の編集にもクラウドソリューションを活用したため、リモートワークで離れた場所にいる場合でも、映像の修正依頼や作りこみの議論などをスムーズにおこなうことができたとのこと。
なお、実証実験で使用された電子ボールドアプリやAWS(アマゾン ウェブ サービス)上に構築された映像認識AIシステム、クラウドコンテンツ/ワークフロー管理ソリューションを活用した撮影・編集システムなどは、ソニーマーケティングが提供しました。
新たな視聴体験の創出を目指す
今回の結果をふまえ、両社は映像認識AIや電子ボールドアプリと既存サービスの連携などを含めた、新たな映像制作クラウドサービスの提供を進めていくとのことです。MBS 経営戦略局DX推進部 樋口達大氏は、「ドラマ制作において新たにAIやクラウド技術を活用することで、従来であれば膨大な時間を費やしていた作業が効率化され、新たな視聴体験の創出への取り組みが活発になったことに大きな意義を感じています」と語っています。
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株式会社毎日放送
(文・和泉ゆかり)