ドイツのメーカーが開発した新しいフィルムは、航空会社にとってその有効なソリューションとなりそうです。機体に貼るだけで空気抵抗を抑えて燃費を向上させ、二酸化炭素排出抑制に役立つとうたいます。まずはスイス航空が活用する見込みです。
小さな突起で抵抗抑
「AeroSHARK」という新フィルムを開発したのは、ルフトハンザグループ子会社Lufthansa Technikとドイツの総合化学メーカーBASFです。そしてルフトハンザ傘下のスイス航空がこの新フィルムを最初に機体に活用します。同航空とLufthansa Technikの発表によると、AeroSHARKにはリブレットという高さがわずか50マイクロメートルの小さな突起物が何百万個もあり、このフィルムを機体に貼ることで空気抵抗を減らすことができるとのことです。名称にある「サメ」の皮を模しています。
今年半ばに初導入
実際にどれくらいの効果があるかというと、ボーイング777型機の胴体とエンジン部分の表面に計950平方メートルのフィルムを貼ることで、約1.1%燃料消費を削減できます。たったの1%ちょっと、と思うかもしれませんが、このフィルムを使用することでスイス航空が運航する全てのボーイング777型機の年間燃料消費量を4800トン以上減らすことができ、ひいては二酸化炭素排出量を年間最大1万5200トン削減できるとのことです。
同航空は2022年半ば以降、順次ボーイング777型機にフィルムを導入するとしていますが、気候変動対策として全世界で二酸化炭素排出抑制が求められるなか、他の航空会社への広がりも期待したいところです。
スイス航空
Lufthansa Technik
(文・Mizoguchi)