シンガポールの南洋理工大学の研究チームが、曇りを防止し、また自浄作用を持つ新たなプラスティックコーティング技術を発表しました。
93ミリ秒で反応して視界を維持
研究チームが開発したのは、プラスティックの表面に塗布するタイプのコーティングで、二酸化ケイ素と二酸化チタンの2つの層の膜で構成されています。使用にあたっては、まずプラスティック表面を酸素プラズマで処理します。そうすることで表面が洗浄され、接着性も高まります。そして薄い膜をパルスレーザー堆積法で重ねます。
メガネのレンズなどプラスティックの曇りは、水蒸気が凝縮して水滴となってはりつくことで起こりますが、膜を張ったプラスティックの表面は付着した水滴が均一な膜となって広がり視界をさえぎることがありません。
発表によると、水滴が広がるスピードは93ミリ秒と人が瞬きするのにかかる時間よりも早いとのことで、曇るという事実を認識する間もないくらい瞬時に反応し、視界を維持できるようです。
汚れにくくもなる
また、このコーティングを施したプラスティク表面に太陽光や紫外線をあてると、酸化チタンが汚れやバクテリアなどの物質を分解し、これにより表面をきれいに保てるとのことです。つまり、このコーティングを施すことで、メガネが曇りにくく、そして汚れにくくなり、メンテナンスの手間を大幅に省くことができます。もちろん、メガネだけでなくフロントガラスやカメラのレンズなどさまざまなものに応用できそうです。
開発チームはすでにこの技術の特許を申請済みで、商業化に向けて産業界との提携を模索しているとのことです。
南洋理工大学
(文・Mizoguchi)