これまで自社内で50人以上のドローン操縦士を育成し、国内25の発電所に配置。点検業務の省力化・効率化を図ってきました。
そしてこのたび、無人の発電所内で点検・監視業務が実行できる全自動ドローンを栃木県那須町芦野にある発電所(1,924KW)に導入。レベル3(目視外・補助者なし)での運用により、さらなる省人化を目指します。
操作はすべて東京本社から遠隔で
全自動ドローンは、現地に操縦者も補助者も置かず、点検のための操作はすべて東京本社から遠隔で実行可能。本社のパソコン画面上で飛行開始のボタンを押すと、ドローンはあらかじめ決められた点検ルートを飛行し、赤外線カメラで太陽光パネルを撮影してDroneNest(充電ポート)に戻ります。なお、1回の点検時間は20分程度で、充電は60分で完了するとのこと。また、自社で画像管理・発電所の異常レポートを作成するシステムを保有しており、取得画像をクラウド経由で連携できるのも強みでしょう。
さらに、防犯監視システムとの連携も可能。監視システムが異常検知した場所へドローンを飛行させて現状を確認し、侵入者を発見した場合は警報を発することもできるといいます。
この全自動ドローンには、飛行頻度を上げられるというメリットも。太陽光発電所の定期点検は年4回程度ですが、自然災害時などの点検も必要です。その際、これまでより簡単に点検作業を実行できるでしょう。同社は今後、自社管理以外の発電所に向けても導入を提案していく構えです。
コスト削減・人手不足解消・盗難防止
同社の全自動ドローン導入にはいくつか理由があります。ひとつは、保守コスト削減の必要性。再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する制度(FIT制度)が今年3月に終了するため、発電事業者にはさらなるコスト削減が求められているのです。
もうひとつは、高齢化による電気主任技術者不足。全自動ドローンを活用することで駆けつけにかかる人員や往復の移動時間をカットできるため、人手不足を解消できるということです。
最後は、国内各地で近年多発している発電所内の銅線盗難。銅線などの盗難は、その交換のための直接的コスト増だけでなく、修理・交換が済むまでの時間に発電量が落ちるというデメリットもあります。ある発電所では年に数回の盗難事件が報告されていて、その対応は急務となっていました。
そこで同社は全自動ドローンの運用を開始。実用化に向けて費用対効果を意識した結果、DJI製の汎用機を活用した全自動飛行点検プログラムと自社システムとの連携を実現し、機材やプログラムのコストを半分以下に抑えました。
PR TIMES
太陽光発電協会
(文・Higuchi)