そんななかで課題となっているのが、本人の許可や確認のない撮像などからのアバター生成や、アバターのなりすまし・不正利用。さらには、画像上の顔を書き換えるディープフェイク技術を用いた犯罪のリスクも懸念されています。
そこで凸版印刷株式会社は、自分の分身として生成したアバターに対し、唯一性を証明するアバター生成管理基盤「AVATECT(アバテクト)」を開発。2月より試験提供を開始します。
アバター生成管理基盤「AVATECT」
「AVATECT」は、アバターを生成した際に、氏名・身体的特徴・元となる顔写真などのモデル情報や、アバター生成への許諾情報、アバター生成者(もしくは生成ソフトウェア・サービス)情報、現在のアバター利用権情報などを、メタ情報として記録。アバター本体とメタ情報を紐づけて保管します。また、アバターにNFTを付与することで唯一性を証明できるように。しかし、NFT化だけではアバターの不正コピーや二次加工を防止できないため、目視できない「電子透かし」を埋め込んでオリジナルとコピーを判別可能にし、真正性を証明します。
ユーザーは、アバターをダウンロードしたときに発行される認証コードによって、アバターの真正性を確認できるという仕組みです。
今後の展開、まずは試験提供から
「AVATECT」はこれから、同社が提供する「MetaCloneアバター」や構築したメタバース上で試験提供される見込み。「MetaCloneアバター」は、1枚の写真と入力した身長・体重情報からフォトリアルな3Dアバターを自動生成するサービスです。GAN(敵対的生成ネットワーク)などのAI技術を活用し、低解像度の写真データでも高精細な3Dアバターを生成できます。また、架空の人物の顔写真を自動生成し、肖像権フリーの3Dアバターを作るという活用方法も注目ポイントでしょう。
同社は、試験提供のなかで複数のメタバース事業者間における同一アバターの行動分析や、それに伴うプライバシー保護の有用性の検証を経て、2022年9月までにアバター管理事業を開始する方針です。
そして2022年度内に、マイナンバーカードを読み取るだけで本人確認を可能にするスマホアプリ「本人確認アプリ」との連携を開始予定。アバターの登録やメタバースへのアップロードロード権限を、本人確認された利用者のみに限定することを実現するようです。
その先、メタバースでのオンライン決済のような本人確認が必要なサービスにおいて、アバターと本人確認された利用者を紐づけることにより本人確認プロセスを省略できる仕組みを構築していくといいます。
PR TIMES
凸版印刷株式会社
(文・Higuchi)