歩行者の脳の動きをモニタリング
今回同大学の研究チームが行った実験は、歩行者の脳の動きをモニタリングしながらさまざまなタスクを行ってもらい、そのパフォーマンスを測定するというもの。活用したのはモバイル・ブレイン/ボディ・イメージング・システム(MoBI)という、バーチャルリアリティ・脳モニタリング・モーションキャプチャーの技術を組み合わせたプラットフォームです。
実験参加者がトレッドミル(ランニングマシン)の上を歩いたり、テーブルの上の物を操作したりしている間、16台の高速度カメラが位置マーカーをミリ単位の精度で記録し、同時に脳活動も測定します。
実験参加者はランニングマシンで歩きながら、さまざまなタスクを命じられます。そのタスクの切り替えに応じて、MoBIは参加者の脳活動を記録。また、参加者が座った状態で「同じ作業」を行う際にも、MoBIによる脳活動が記録されました。
タスク実行時には歩行が改善
実験の結果、人が何かしらの認知タスクを同時に実行しているときは、歩行パターンが改善することがわかったようです。つまり、歩くことにのみ集中していた時よりも、歩行しながらタスクを実行していたときのほうが、安定した歩行だったといいます。本研究をリードしたEdward Freedman博士は、「健康な若い脳がどのようにして『歩きながらタスクをこなす』ことに成功するのかを理解することは重要な出発点です。しかし若い脳だけでなく、これらの知見が健康な高齢者の脳や神経変性疾患を持つ成人の脳でどのように異なるのかを理解する必要もあります。次に我々が目指すのは、この研究をより多様な脳群に拡大することです」とコメントしました。
Researchers provide insight into how the brain multitasks while walking
(文・Takeuchi)