経済産業省と国土交通省が主催する「自動走行ビジネス検討会」は、2022年度を目途に限定エリアでレベル4自動運転サービスを実現し、2025年度までに全国40カ所以上へサービスを広げるという目標を掲げています。
そんななか損害保険ジャパン株式会社(以下、損保ジャパン)、株式会社ティアフォー(以下、ティアフォー)、アイサンテクノロジー株式会社は、国立大学法人東京大学 大学院情報理工学系研究科 加藤 真平准教授の研究室と共に、レベル4自動運転に対応した「自動運転システム提供者専用保険」を開発しました。
システム提供者の責任として事故対応
事業者がレベル4自動運転サービスを導入するにあたり、課題のひとつとなるのが事故発生時の対応。自動運転中の事故なのに、(システム提供者ではなく)事業者が自社保険で対応しなければならないのか、などの疑問が生じるようです。そこで同保険は、自動運転システム提供者を記名被保険者(対象車両を主に使用する人)として設定。サブスク型で自動運転サービスを導入する事業者に対し、システム提供者によるサービスのひとつとして提供します。つまり、自動運転中の事故について、システム提供者の責任として保険の事故対応を進めるということですね。
補償内容は、対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険・ロードアシスタンスなど。事故発生時の事故原因調査では、自動運転技術を用いて得られる位置推定や障害物検知などのデータから、事故発生時の状況をハード・ソフトの両面で再現および検証するようです。
なお、損保ジャパンらは、保険の提供にあたり自動運転専用のサポート窓口の開設、AIによる自動運転システムの不具合予測・解析、自動運転リスクアセスメントの高度化などを実施しています。
まずは、自動搬送サービス「eve auto」に適用
同保険はまず、自動運転システム「Autoware」の開発を主導するティアフォーに提供。そしてヤマハ発動機株式会社とティアフォーの合弁会社eve autonomyが展開する自動搬送サービス「eve auto」に適用します。「eve auto」は、1500kgまでけん引できる屋内外対応の自動搬送車両を提供するサービス。導入後のルート編集、運用サポートや車両メンテナンスをワンストップで提供するのが特徴です。
提供車両は、7°までのスロープや3cm以下の段差を乗り越えられる小型EV。複数の建屋がある工場敷地内などに導入され、フォークリフトやけん引車で行っていた運搬業務を担っています。
この「eve auto」に同保険を適用し、レベル4自動運転向けの保険・サービスの検証を行い、多方面への展開を目指すとのことです。
PR TIMES
「eve auto」サービスサイト
(文・Higuchi)