しかし、施行直前の2021年12月に公表された令和4年度税制改正に、電子取引における電子データ保存の義務化は、2022年1月1日~2023年12月31日の2年間猶予するという内容が盛り込まれました。
こういった状況のなか、企業は電帳法にどのように対応しているのかを明らかにすべく、Sansan株式会社は「改正電子帳簿保存法施行後の実態調査」を実施。企業の導入状況や導入メリットなどを発表しています。
対応企業は約3割、対応遅れが目立つ中小企業
同調査では、1月19日(水)~21日(金)の期間、請求書業務を担当する全国のオフィスワーカー1000名を対象に、オンラインでのアンケートを実施しました。まず、電帳法に対応しているかを聞いたところ「対応している」が31.5%、「対応していない」が32.8%、「分からない」が35.7%という結果に。
また、従業員規模別で見ると、100名以下の企業は「対応している」が23.4%、「対応していない」が47.2%である一方、1000名以上の企業では「対応している」が41.8%、「対応していない」が16.1%となりました。このことから、電帳法への対応は全体で約3割にとどまり、傾向として従業員規模が大きな会社ほど対応していることが伺えます。
電帳法対応サービス導入で、メリットを実感?
次に、電帳法に対応していると答えた315人に対し、対応後の業務の変化を質問。すると約7割が「デメリットよりメリットの方が大きいと感じた」と回答しています。ではそのメリットとは何か? 「メリットの方が大きい」と答えた220名に聞いたところ、「請求書を処理する時間が減った」「請求書を探すのが容易になった」「勤務先で書類のペーパーレス化が進んだ」などの回答が上がりました(複数回答)。結果、電帳法への対応により、業務効率化やペーパレス化を実現できたと感じている人が多いようです。
ここで再び、「メリットの方が大きい」と答えた220名に電帳法への対応方法を質問。すると約半数が「電子帳簿保存法に対応したサービスを導入した」と回答しています。電帳法対応サービスの導入によりメリットを享受している人も多いのかもしれませんね。
電帳法対応を先延ばしにする傾向も
そして、冒頭の質問で「電帳法に対応していない」と答えた人328名に検討開始の時期を質問。「2022年のうちに検討を始める予定」が31.7%、「2023年以降に検討を始める予定」が2.1%、「まだ決まっていない」が44.2%、「分からない」が22.0%という結果となりました。2022年内に検討をはじめると答えたのは約3割のみ。この結果には、2年間の猶予措置が関係しているのかもしれません。
これらの結果を踏まえ、同社のBill One Unit プロダクトマーケティングマネジャー・公認会計士である柴野 亮氏は「(電帳法に)対応した企業の約7割がメリットを感じていることが分かり、改めて電子帳簿保存法の意義を感じました」とコメント。加えて、従業員規模によって対応状況に差が出ていることについて「コストをかけられない中小企業のサポートを強化していく必要性を感じています」と話しています。
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(文・Higuchi)