そのなかで、1989年と2022年の世界時価総額ランキングTop50を比較した結果、約35年間で日本企業の世界における立ち位置が変化したことや、世界経済の大きな成長が示されています。
今回Techable(テッカブル)では、2019年と2022年の比較から見る成長企業の特徴や、時価総額から見る近年のトレンドなどをまとめます。
新興バイオ企業が急成長
2019年と2022年の時価総額の変化に影響しているひとつの要因が新型コロナウイルスです。19年時点ではTop50ランク外であったアメリカ企業のEli Lilly and Company(38位)やデンマーク企業のNovo Nordisk(50位)が新規ランクインしたほか、19年に31位となったスイスのRoche Holdingが26位にランクアップするなど、新興バイオ企業の時価総額が増加しています。製薬業界で言えば、21年12月にSamsung Groupが、米国バイオテクノロジー企業Biogen(製薬業界19位)の買収に踏み出しました。神経疾患分野で世界随一といわれるBiogenの買収に成功すれば、Samsungは世界の製薬・バイオ産業のトップグループに躍り出るでしょう。
XR・自動運転車・EV車などの新市場に注目
もちろん、新興バイオ企業以外にも時価総額を伸ばした企業は複数あります。注目は、19年・22年ともに時価総額1位のApple。19年4月時点の時価総額9644.2億ドルから約3年間で2.93倍に成長しています。
同社は「iPhone」や「Mac」などのベストセラー製品を販売するほか、「Apple Music」や「Apple TV+」などのサブスクリプションサービスを展開し、売上を伸ばしてきました。また、完全自動運転車やXR端末を開発中とのうわさもあり、新市場を開拓する姿勢に投資家は信頼を寄せているようです。
また、世界の脱炭素・EV推進の流れに乗って21年10月に時価総額1兆ドルを突破し、Meta Platformsを抜いたTeslaも要チェック。
EVセダン「モデル」を製造・販売するTeslaは、21年10月~12月の出荷台数が過去最高の30万8600台となったことや、米国レンタルカー大手のHertz Global Holdingsに「モデル3」を10万台提供することを発表したことなどが要因となり、急成長したと見られています。
日本企業のプレゼンスは? 今後はどうなる?
さて、日本企業はと言うと、19年も22年も変わらずランクインしたのはトヨタ自動車株式会社1社のみ。その要因として、新型コロナ向けワクチンや治療薬の開発で他国企業に遅れを取ったこと、大手企業と新興企業の連携が不十分で新興勢に対する株式市場の評価も低調であることが考えられるようです。では、21年12月24日時点の世界上位1,000社の時価総額ではどうでしょう? なんとアメリカ企業がその5割以上を占め、日本企業は5%に満たない68社にとどまっています。
その日本企業なかで時価総額が10兆円を超えるのは、5社のみ。このたび新たに10兆円を突破したのは、子会社であるindeedの人材ビジネス業績が急拡大したリクルートホールディングスでした。
こうしてみると、世界における日本企業のプレゼンスは少々薄いという印象。しかし、スタートアップへの投資が加熱傾向にあるとの見方もあり、STARTUP DB MEDIA編集者は「世界を牽引する企業を日本からもう一度生み出すため、今が再起のタイミングなのかもしれません」と考察しています。
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(文・Higuchi)