近年、生産性と品質管理の維持・向上に向けた生産現場のDXが進んでいます。しかし、ロボットの導入が困難なケースや、そもそもロボットでは対応できない目視確認作業もあるようです。
そんななか、EAGLYS株式会社(以下、イーグリス)とセーフィー株式会社(以下、セーフィー)は、生産ラインの不具合を検知するAI画像解析サービスの共同開発に着手しました。
24m先の異物を91%の精度で検知
両社が開発中のAI画像解析サービスは、イーグリスのAI画像解析技術とクラウド録画サービス「Safie(セーフィー)」をかけ合わせたもの。「Safie」で撮影した映像をAI解析し、製造工場や物流センター内の生産ライン上の不具合や異物検知を高速・高精度で行います。実証実験用に開発した工場向けAI画像解析サービスでは、現状の生産設備や従業員の作業導線を変えることなく、24m先のラインにある異物を91%の確率で検知することに成功。今後、工程や製品に合わせた画角やAIアルゴリズムをチューニングすることで精度を高められるとの見通しです。
同サービスは、「Safie」を活用しているため導入が手軽なことも魅力のひとつ。また、異常検知のほか映像を通じた確認作業の記録や遠隔からの管理・実行、振り返りに活用できるのもポイントでしょう。
秘密計算とAI開発のイーグリス
セーフィーは、カメラとインターネットをつなぐだけで、いつでもどこでも映像を確認できるクラウド録画サービス「Safie」を展開しています。そんなセーフィーとタッグを組んだのがイーグリス。秘密計算を中心としたデータセキュリティ技術とAI設計技術により、セキュアにデータを連携・利活用できる基盤づくりとAIによる付加価値創出を目指す企業です。
核となる“秘密計算”とは、データを暗号化した状態のまま計算できる技術。従来は、データ分析などの際に暗号化を解除する必要があったため、情報漏えいの観点から匿名化などの処理が必要でした。この匿名化処理においては、データの精度低下や時間的コストが課題となっていたようです。
しかし、秘密計算を活用すれば、データ分析時の匿名化作業は不要になり、計算プロセスも暗号化されるため異なる事業体のデータを互いに秘匿したまま連携し分析することが可能に。つまり、生データの精度とセキュリティを両立させてデータ分析ができるというわけです。イーグリスは、これを実現するソフトウェアとして「DataArmor GATE DB」を提供しています。
また、データだけでなくAIモデル自体も暗号化したままクラウド上で処理する「DataArmor GATE AI」や、セキュアなデータ連携基盤をパッケージとして提供するクラウドサービス「DataArmor ROOM」も提供中です。
PR TIMES
EAGLYS株式会社
経済産業省「製造基盤白書(ものづくり白書)2020年版」
(文・Higuchi)