このたび、浄楽寺の属する一般社団法人BUSHIDO文化協会(以下、BUSHIDO文化協会)と株式会社CRYPTO&は、共同で「NFT御朱印」の発行に踏み切りました。
2021年12月からスタートしている取り組みで、価格は日本円換算でおよそ1000円。Openseaのプラットフォームで計6つの御朱印が各48枚授与されます。
御朱印とNFTの相性
メタバースでの活用やファッション、エンタメ領域での取引などがスポットライトを浴びているNFTですが、両者の取り組みは「画像データ」の授受という比較的シンプルなもの。しかし安易に先端技術に手を出しているではありません。「御朱印」と「NFT」には親和性があります。御朱印とは「参拝した印のスタンプカード」として現在一般に浸透しつつありますが、元来は本尊の変わりとして持ち帰るものです。失礼を承知で横文字を使うなら「仏さまのテイクアウト」。
つまり御朱印は「自分の信仰と仏様をつなぐ印」です。自分で足を運んでもらってきた御朱印でないと意味がありません。他人から手渡されたモノはもちろん、まして御朱印の画像を複製したものを保存していても、仏様とのつながりは希薄になってしまうことでしょう。
とはいえ遠方の方にも参拝してもらいたい、板挟みの状態に悩む寺社仏閣各位。
非代替性を持つNFTであれば「自分だけのデータの証明」が可能なので、デジタルデータであっても御朱印のありがたみを実感することができます。また、NFTで御朱印を購入することが一般的になれば、昨今話題になっている御朱印の転売問題に一矢を報いることができるかもしれません。
文化存続のため柔軟な対応
この取り組みに関して、BUSHIDO文化協会は次のようにコメント。現在、寺院は消滅の危機にあります。それは江戸時代より確立された檀家制度の限界です。人口減少、地域一極集中などによる影響もあり、地方の寺院から崩壊が始まっています。さらに、核家族化による文化の未継承・先祖への思いの変化、信仰の希薄化が伴い、様々な悪条件が崩壊に追い打ちをかけています。
(中略)
そこで、様々な縁を作る努力が必要になりますが、このNFTも同様であります。NFTというデジタル技術を用いることで、世界の人たちに向けて、日本の文化を発信することができます。さらには、このご縁の中で訪問してくださる方が生まれるかもしれません。そういう意味でもご朱印NFTはご縁を紡ぐ可能性を秘めているのです。
浄楽寺以外にも、VR空間を活用したオンライン参拝や文化財の3Dモデル化に挑戦する寺院がちらほら。宗教界も大きくアップデートを迎えつつあるようです。
PR TIMES
(文・川合裕之)