東京駅銀の鈴広場には完全自動でスタンドアローン型のElla X、横浜駅JRE MALL Cafeにはインテグレーション型のElla Y(Yokohamaの頭文字Y)を導入し、カフェオペレーションの効率化に関する効果を検証します。
期間は12月8日(水)〜2月28日(月)まで。両駅ともにオープンは7時からで、東京駅が22時、横浜駅が21時クローズとなります。ラストオーダーは閉店30分前です。
非接触でスピーディー、かつ本格的なエスプレッソドリンクを淹れてくれるという「Ella」は、ウィズコロナ・ポストコロナの時代にマッチしたサービスと言えそうです。
というわけで、実際にアメリカーノを淹れてもらいました!
事前オーダーは特別価格で注文できる
まずは注文から受け取りまでの流れを紹介しましょう。Ellaは、専用のアプリによる事前のモバイルオーダー(クレジットカード決済)、もしくは現地のタッチパネルで直接オーダーするタッチオーダー(交通系電子マネー決済)のいずれかで利用可能。
事前のモバイルオーダーは「出勤前や昼休憩中にサクッとコーヒーを受け取りたい」というビジネスパーソンにうってつけ。現地で注文するより数十円安く購入できるというのも魅力的で、アメリカーノのテストマーケティング中の価格はアプリ決済で260円(税込)、交通系電子マネー決済で300円(税込)となります。
アプリ上で予想待ち時間や待ち人数が表示されるため、混雑具合に応じてオーダーする時間を逆算して調整するのがよさそうです。
タッチオーダーは、JR東日本と提携していることからSuicaにも対応しています。「Suicaが使えるなんて当たり前」と思う人もいるかもしれませんが、JR東日本の常務執行役員・表(おもて)氏によると、日本法人がない企業のプロダクトにSuicaを導入するのは初めてとのこと。
カスタマイズ可能なドリンク、ノンカフェインも
テストマーケティング中は、計6種類のドリンクを提供。アメリカーノをはじめとしたエスプレッソドリンク5種に加え、ノンカフェインのベビーチーノも用意しています。ベビーチーノはいわば「エスプレッソを抜いたカプチーノ」で、ふわふわのホットミルクのこと。もちろんベビー以外も注文可能で、カフェインを取りたくない日にうれしい一杯となりそうです。
また、砂糖の有無を選んだり、シロップを追加したり(有料)、と大手コーヒーチェーン顔負けのカスタマイズもできます。なお、記事執筆時点でベビーチーノはカスタマイズできません。
受け取るまでは約2分弱
注文を終えるといよいよEllaの出番です。Ellaのコーヒーマシンユニットには、デロンギの業務用ブランド「Eversys」の全自動コーヒーマシン「カメオC'2m」を採用。Crown社CEO・Tan氏は「一貫した品質のコーヒーをスピーディーに提供でき、Ella Xでは3カップまで同時にドリンクを作成できる」と話します。1時間で200杯のコーヒーを作成できるというEllaは、バリスタの4〜5倍の作業スピードとのこと。人間のように疲れたりスピードにムラが出たりすることなく、ノンストップでコンスタントにドリンクを作り続けられるロボットの強みが生かされています。
ドリンクが完成するとロボットアームがカップを持ってきてくれます。アプリ上で発行されるQRコードをEllaのスキャナにかざすとドリンクを受け取ることができるという仕組み。
Ella前面の半透過ディスプレイにニックネームと注文したドリンクが表示されるため、取り違える心配はほとんどないでしょう。
気になるスピードですが、その場で注文してからドリンクを受け取るまでの時間を計測してみたところ約2分弱。モバイルオーダー自体はコーヒーチェーンにも導入されていて一般的になりつつありますが、注文してから2分以内にドリンクを受け取ることができる店舗はそうありません。
とはいえ今回のテストマーケティングは、コーヒーニーズや価格帯、種類を検証する段階。今後もこのスピードを維持することができれば、大きな強みとなりそうです。
実際に試飲してみました
「非接触でスピーディーにそこそこの味のコーヒーをそこそこの値段で買えれば十分ではないか」と思う人もいるかもしれませんが、欲張りたくなるのが人間のさが。どうしても「クオリティ」が気になります。実際にEllaに淹れてもらったアメリカーノがこちらです。
まずは量。7分目程度までしか入っていませんが、カップ自体が大きいため量はたっぷりです。なお、テストマーケティング中は蓋の提供がないようですので持ち運びにはご注意を。
次に温度ですが、アメリカーノにしては少し低い印象。猫舌でなければ、受け取った後すぐに飲んでもやけどすることはなさそうです。
そして最後に、一番気になるお味。酸味はなく、飲んだ瞬間口の中に苦みが広がります。口当たりがさらっとしていて苦みが口の中に残らないので「苦みはしっかりあるけれど重くない」という印象を受けました。通勤途中目を覚ますための一杯にぴったりです。
Crown社のはじまりはコーヒーショップ
Tan氏(写真中央)が繰り返し言っていたのが「まずは飲んでみてほしい」という言葉。味に自信がある様子がうかがえました。それもそのはず、Crown社は今でこそフードテックのスタートアップ企業という位置づけですが、もともとはシンガポールのコーヒーショップからスタートしているとのこと。つまりコーヒーのプロフェッショナルというわけです。
店舗スタッフの入れ替わりなどによる人材不足に直面したことから、ロボット工学とAIを活用したロボバリスタを開発したのだといいます。
ロボットは効率化のために活用されることが多いなか、効率だけでなく味にもこだわっているロボバリスタElla。外出する機会が少しずつ増えてきた今、駅で“エキ”サイティングな「安心(非接触)・早い・おいしい」体験をしてみてはいかがでしょうか?
アプリのダウンロードはこちらから。
(文・Saki Amano)