そこで同市は、株式会社スペースリーが提供するVRクラウド「スペースリー」を活用し、遠方からでも空き家を360度リアルに確認できる「VR空き家内覧」を導入しました。
どこからでも物件のリアルな状況を確認できる
「VR空き家内覧」とは、360度カメラで各部屋を撮影し、パノラマビュー化した空き家の室内をWebブラウザ上で確認できるサービス。ユーザー自身が部屋の隅々まで細かく確認できるため、電話の問合せ時間の削減など職員の負担軽減にも期待できるといいます。また、必要に応じてオンラインで画面共有をしながら相談することができるようです。VRコンテンツ制作に必要なものは、360度カメラと「スペースリー」のスマートフォンアプリをインストールしたデバイスのみ。これだけで、撮影からクラウドへの写真アップまで簡単に行えます。撮影時に映り込んだ残置物などへのモザイク処理もクラウド内で編集できるため、家主さんのプライバシーなどに配慮しつつ、空き家の現状を伝えられるでしょう。
実際にVRで内覧できる空き家は、売買・賃貸合わせて10件以上(2021年12月7日時点)。なかには、白壁が印象的な物件もあり、そのVR内覧では外観・玄関・各部屋・トイレなど実際に見て回っているかのように確認できました。
深刻化する空き家問題に、VR内覧が効果的?
近年、高齢化や地方における人口減少などにより、空き家問題が深刻化しています。総務省統計局が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家率は13.6%と過去最高に。一方で、リモートワークなどが拡大し、都市部から地方へ移住する動きが活発化しています。これは、空き家や人口減少に悩む地域にとってはうれしい状況ですが、実際に住居を内覧しに現地に赴くという点がハードルとなっていたようです。笠岡市の「空き家バンク」は、2020年度に年間51件の契約実績(賃貸・売買合計)となり、48名の移住をサポート。しかし、住居を内覧がハードルとなり、移住を諦めるケースも相次いだといいます。そこで今回、どこからでも空き家の内覧ができる同サービスを開始したということです。
ちなみにスペースリーは、2020年2月に広島県江田島市の「遠隔地の移住希望者に対する空き家バンク物件のバーチャル案内」実証事業における実験に参画。移住ポータルサイト「hodohodo」上にVR空き家内覧を展開し、相談数約2倍、成約数ペース2.4倍を達成しています(ともに昨年度比)。
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笠岡市空き家バンクHP
総務省統計局
(文・Higuchi)