そんななか、興味深い研究結果を発表しているのが米国ダートマスカレッジの研究チーム。サラリーマンの通勤時にスマートフォンやウェアラブルデバイスから情報を集めることで、「職務遂行能力」を予測できるといいます。
ウェアラブルデバイスで身体を測定
「通勤を分析すれば、仕事のパフォーマンスを予測できます」と、同大学の研究者であるAndrew Campbell氏は話します。 「我々が行った今回の調査は、ウェアラブルデバイスが、サラリーマンにとって通勤がどのように影響するかを特定できることを示しています」。今回の調査は、新型コロナウイルス感染拡大前の1年間に収集したデータを分析したもの。アクティビティトラッキング機能を持つスマートウォッチと、スマートフォンのセンシングアプリを使用し、主に車で通勤する275人のサラリーマンからデータを集めました。
場所・天気・通勤時間・通勤方法のばらつきなど外部要因を把握した上で、活動レベル・電話の使用状況・心拍数・ストレスなど、通勤中の行動パターンを測定するとともに、通勤前後の30分間もモニタリングを実施。その結果、仕事のパフォーマンスが低い人と比較して、パフォーマンスが高い人は、出勤時間と退勤時間に一貫性があったといいます。
ルーティンを守ればストレスが減る
同大学のPino Audia教授は「毎日決まった時間に通勤することは、通勤時間が変動することによる様々な悪影響を劇的に減らすことができます。高パフォーマンスの秘訣はより良いルーティンにこだわることにあるかもしれない」とコメントしました。さらに興味深いことに、仕事のパフォーマンスが低い人は通勤中に「携帯電話」を使うことが多いと判明。また通勤中や、その前後の時間に高いストレスを抱える傾向があることがわかったといいます。
今回のようにウェアラブルデバイスを用いて労働者のパフォーマンスとの関連性を分析する研究は珍しく、「我々が得た洞察は、今後『仕事』というテーマにおいて重要な研究分野になるはずです」とCampbell氏は述べています。
Wearable Tech Confirms Wear-and-Tear of Work Commute
(文・Takeuchi)