3000を超える品種を分析
スープに入れたりおつまみとして食されたりするひよこ豆。オーストラリアでは、ルパン豆に次ぐ栽培面積・生産量を誇る豆類だといいます。また、研究チームによると、ひよこ豆は世界の豆類の中でも、面積で2位・生産量では3位にランクインしているようで、同大学准教授のLee Hickey氏は「タンパク質が豊富な豆類に対する世界的な需要が高まっている」と述べています。今回の研究の目的は、ひよこ豆の種子の重量を向上させるため、育種戦略を開発すること。同大学のBen Hayes教授は、「ほとんどの作物種は数種類しか配列決定されていないため、3,000を超える栽培品種と野生品種を分析することは、大規模な取り組みでした」と述べています。
最も高い遺伝子の組み合わせを特定
同大学の研究は、中東地域におけるひよこ豆の起源を確認すると共に、ひよこ豆内の遺伝的変異の全体像を解明するというもの。 注目したい点は、合計約1600もの新規遺伝子を特定し、ひよこ豆のパンゲノム(ゲノム配列の集まり)のマッピングを確立させたことです。これを活用することで、干ばつ・熱・病気に対する耐性が高いひよこ豆の品種を育てられることに加え、収穫量の向上も見込まれます。研究チームがひよこ豆の設計に用いたのは、AIの「FastStack」というテクノロジープラットフォーム。「FastStack」は、AIとゲノム予測テクノロジーを組み合わせて、作物のパフォーマンスを向上させる可能性が最も高い遺伝子の組み合わせを特定します。Hayes教授によると「これは、ひよこ豆のブリーダーにとって価値のあるツールになる」といいます。
オーストラリアのひよこ豆の生産性を向上させることは、農家が地元の食品産業や輸出市場に供給する機会を生み出すことにつながります。同氏は 「このAIで生成されたひよこ豆モデルを使用して、(中略)生産のプロセスをスピードアップさせることが可能」とコメントしています。
AI helps design the perfect chickpea
(文・Takeuchi)