米国カリフォルニア拠点のスタートアップBoundary Layer Technologiesが、完全電動のハイドロフォイルフェリーのコンセプトを発表しました。二酸化炭素を排出せず、騒音も控えめ、そして時速70キロ超で航行できるとのことで、クリーンでスピーディな水上交通機関になることが期待されています。
水面から浮いて高速航行
「ERECTRA」と命名されたハイドロフォイルは、定員150人のフェリーです。従来のタイプと違って搭載するバッテリーで航行します。そして単なる電動フェリーではなく、ハイドロフォイルです。ハイドロフォイルとは水中翼船とも呼ばれ、高速航行時に船体が水面上に浮かぶのが特徴です。これは水の抵抗を減らすためで、開発元によるとERECTRAの巡航速度は40ノット(時速約74キロ)とのことです。
航続距離は185キロ
また、独自開発の電動推進システムでは、航行が従来のタイプよりもずっと静かなものになるとうたいます。化石燃料を使用するフェリーに比べて騒音レベルを最大20dB抑制でき、振動も抑えられるとのことです。もちろん、電動なので二酸化炭素を排出しません。気候変動を背景にさまざまな業界がエミッションフリーに取り組む現代の動きに合致したものと言えます。
ERECTRAの航続距離は185キロ。同社によるとこの航続距離は米国の旅客フェリーのルートの90%に対応するとのことで、需要は少なくなさそうです。
同社はすでにハイドロフォイルとコントロールシステムを開発済みで、初のERECTRAを2024年第1四半期までに米国や地中海などで運航する計画とのことです。
Boundary Layer Technologies
(文・Mizoguchi)