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幼い子供に没入型VRは注意が必要? スイス連邦工科大学が発表

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スイス連邦工科大学の研究チームは、「没入型バーチャルリアリティ(VR)」は、子供が本来持つ感覚運動機能に影響を与える可能性があると発表。企業などが子供向けのVRプロトコルを開発する際には考慮すべき事柄であるとしています。

子供には難しいVR操作

同大学のJenifer Miehlbradt氏は、あるイベントでドローン操縦用のVRセットを着用したことがきっかけで、この研究に着手することになりました。大人や子供が参加しているのを眺める中で同氏は「そのイベントでは、大人は簡単にVRでドローンを操縦できていたのですが、子供たちにはそれが難しいということがわかりました」と話します。

Miehlbradt氏はこの体験をきっかけに調査をしたところ、没入型VRが子供の感覚運動機能に与える影響についてはほとんど文献がなく、認知されていないことが判明。そこで同氏は、スイス連邦工科大学とイタリア工科大学との共同で、6歳から10歳までの80人の子供を対象とした数年間におよぶ研究を開始しました。

VRには複雑な運動機能が必要

同大学が行った実験では、まず、子供たちにVRヘッドセットとセンサーを装着し、2つのゲームをプレイしてもらいました。

実験に参加した子供たちは、頭のみを使ったゲームでは大人と同じようなコントロール能力を示した一方で、体全体を使ったゲームではパフォーマンスが大きく低下したようです。研究チームによると、VR環境で体をコントロールしようとすると、ユーザーは視覚と体を分離する必要があり、複雑な調整が必要になるといいます。

健康的な成人は、自転車に乗っているときに他の場所を見るように、頭の動きを体から切り離すことに問題はないようです。一方で子供の場合は、歩行できるようになる約1才から6〜7才までの間に、体幹・頭・腕を連携させて上半身全体をコントロールすることを覚えていくとのこと。このような過程を経て、それぞれの関節を徐々に独立して動かせるようになっていくため、混乱しやすい時期でもあると言えるでしょう。

Miehlbradt氏は実験結果を踏まえて、「こういった時期に没入型VRを利用することは、学習過程に何らかの影響を与える可能性がある」とコメントしています。

Virtual reality affects children differently than adults

(文・Takeuchi)

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