実証実験の概要

また、市役所内に設置したBOLDLYの自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を活用し、運行状況や車内の様子の遠隔監視、運賃のキャッシュレス決済を⾒据えた顔認証による乗客の確認と擬似決済の実験も行います。
さらに、岐阜ダイハツ販売株式会社の協力のもと、アバターを用いた非対面での乗車案内も実施されるとのことです。
「通信方式」による「信号協調」
今回の実証内容に含まれている「信号協調」は、自動運転バスの実用化に必要な技術で、その方法は「カメラ方式」と「通信方式」の2種類。「カメラ方式」は、カメラによって信号の現在の灯火色を認識するという方法で、カメラの死角や逆光などにより確実に認識することが難しいという点や、急制動が起こりやすいという点が課題だと言われています。
BOLDLYはこれまで、沖縄県や千葉県、福岡県などにおいて計6回の自動運転バスの信号協調に関する実証を実施しました。それらの実証を通して、BOLDLYは自動運転バスには「通信方式」が必須であると結論づけたようです。
「信号協調」実装への課題
「通信方式」による「信号協調」は、技術的にはすでに確立されているにも関わらず、社会実装は進んでいません。その理由として、政府による信号協調方式の標準化の議論の完了、各都道府県警への予算配分、設備の維持管理主体の明確化など、普及に必要なプロセスを導くロードマップが示されていないことが挙げられるようです。同実験でも、ルート上の全信号で「通信方式」による「信号協調」を実施するにあたり技術的問題はなかったものの、「信号協調」の社会実装のめどが立っていないために、設置する信号協調用機器の維持管理や撤去費用などがネックとなり、最低限の2カ所に絞ったといいます。
なお、BOLDLYはすでに、茨城県境町や「HANEDA INNOVATION CITY」で自動運転バスの実用化を達成していますが、上記の理由でいまだ「信号協調」の実装は実現していないとのこと。BOLDLYは今後も政府などとの連携を図りながら、自動運転バスの実用化を推進し、交通課題の解決に取り組んでいく構えです。
PR TIMES
(文・Higuchi)