ゲームの中でもeスポーツは、メディアで目にすることの多いワードの1つ。しかしながら、eスポーツチームの運営やプレイヤーとして安定した収入を得るのは難しいのが現状です。こういった状況を受けてか、金融プラットフォーム×eスポーツの新しい動きが出てきました。
みんなの銀行のCheer Boxによるサービス
2021年5月に国内初のデジタルバンクとして登場したみんなの銀行は、「みんなに価値あるつながりを。 」をミッションに掲げ、 従来の銀行の枠組みにとらわれることなく、 人や企業、コミュニティに価値あるモノを仲介するプラットフォームを目指してサービス・機能提供をしています。一方のCS entertainmentは、国内最大級のプロeスポーツリーグ「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE」に所属する「FOR7」などのマネジメントを行う会社で、ゲーム配信者(ストリーマー)のマネジメントも行っています。 ストリーマー部門には「芝刈り機〆」の所属をはじめ、 世界でダウンロード数2.5億回を超えるモバイルゲーム「CoD MOBILE」部門では、 所属プレイヤーの中から現日本チャンピオンも誕生してます。
この両社が提携を結び、ファンとチーム(プレイヤー)をつなぐ金融プラットフォームとしての活動支援を開始したのです。具体的にどういった内容なのかを説明していきましょう。
活動支援の第一弾としてサービス開始となったのが「みんなのCheer Box」です。このサービスは、ファンのみなさんの預金が応援に変わるサービスとなっています。
仕組みは簡単です。まず、ファンの方がみんなの銀行上で貯蓄預金のCheer Boxを作成、このCheer Boxにお金を入れていきます。特定の期間中の預金額が計算され、残高に応じた金額が活動資金としてチームに支払われる仕組みです。
このとき、口座のお金が引き落とされるわけではなく、活動資金はみんなの銀行が支払います。これがさきほど説明した「預金が応援に変わるサービス」の所以です。なお、今回の実施要件では、活動資金としての支払いは残高の1%で、支援上限金額は500万円となっています。
なお、Cheer Boxはみんなの銀行アプリに用意された機能の1つで、貯蓄預金の中に仮想のボックス(箱)を作ることができるもの。このボックスに予期を振り分けることで、目的別の貯金を簡単にできる機能です。
さらには、このサービスでCheer Boxに預金をしたファン向けにプレゼント企画も用意されています。
eスポーツは脚光を浴びる機会が増えているジャンルの1つです。国内ではハイペースでの成長が見込まれていて、2021年に約87億円を見込むeスポーツの市場規模は3年後の2024年に約184億円にまで拡大するという見方もあります。
オンラインとの相性がいいeスポーツは、コロナ禍においてもイベントや大会をオンライン化することでファンを獲得し続けています。
その一方で、国内に限って見た場合、賞金の問題が残っています。高額賞金に制限があるために、eスポーツプレイヤー専業として食べていくのはかなり難しいのが現状。実際、現役のプロプレイヤーの方々は、動画の広告収入や配信での投げ銭収入を生計の柱にしている方も多いと聞きます。
チームや選手たちの安定した収入源の1つとして、期待がかかるこのCheer Boxによるサービス。男子中学生がなりたい職業のベスト1にもなるほどのeスポーツプロプレイヤーですが、みんなの銀行の発表では中長期的な観点で「金融」×「eスポーツ」の新たなビジネスの可能性を共同で検討していくとしています。果たして、この取り組みは業界のスタンダードになるのでしょうか。動向に注目が集まります。
(文・辻英之)