航続距離が長い電気バスを導入
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル達成」の実現に向け、環境負荷が低い公共交通の重要性が高まる一方で、電気のみを動力として走るバス「電気バス」は、その導入コストの高さ、最適な充電インフラ・運行マネジメント、電力調達などの運用面において、未だ多くの課題が存在しています。このような課題に積極的に対応していくため、福岡県北九州市にあるバス営業所の1つである西鉄バス北九州小倉自動車営業所では、中古の国産ディーゼルバスを改造した「レトロフィット電気バス」を2022年2月以降に導入予定。運行区間は小倉~黒崎間の路線(片道約14km)を予定しており、新規導入バスの車両性能検証に加え、エアコンの負荷や、乗客乗車においての航続距離、最適な充電運用の検証を実施します。
ちなみに、小倉自動車営業所で導入される電気バスは、台湾最大手の電気バスメーカーであるRAC Electric Vehiclesと共同開発したもの。国産の大型ディーゼルバスをベース車両としながらも、従来の電気バスよりも航続距離が長いことから、より効率的な二酸化炭素排出削減を実現できるとのこと。住友商事によると、CO2削減効果は既存のディーゼルバスと比較して57%(想定値)です。
また、福岡市の西鉄アイランドシティ自動車営業所では、将来的な電気バスの複数運用を見据え、既存の電気バス1台に加え住友商事が保有する車両も2021年10月より導入予定。現在予定されている運行区間はアイランドシティ照葉から千早駅間の路線(片道約5km)で、合計2台の電気バスの車両性能検証・複数台運用時の検証を実施。具体的には、充放電器のスペック、最適な充電運用等をチェックしていきます。
サブスク方式でのサービス提供も視野に
今回の実証実験を行う住友商事では、2021 年4 月に新設したBeyond Mobility 事業部を中心に、社会課題の解決 に繋がる新規ビジネス開発を行っています。将来的には、全国のバス事業者に電気バスの導入・運用に関するサービスをサブスクリプション方式で提供することで、電気バスの普及・促進と低炭素社会の実現を目指すとしています。一方西鉄グループでは2020 年2 月より、すでにアイランドシティ自動車営業所へ電気バスを1 台導入しており、 運行距離の測定や営業所における運営コスト削減の実証を行ってきました。今後は電気バスを活用した本実証をはじめ、同社の事業活動全てにおいて、低炭素社会の実現に向けて積極的に取り組んでいくようです。
PR TIMES
(文・Takeuchi)